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朝日新聞社

大阪地盤沈下を覆せ 知の拠点「うめきた」が面白い理由

初出:朝日新聞2017年5月22日〜6月2日
WEB新書発売:2017年9月14日
朝日新聞

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即席ラーメンやレトルトカレー、引っ越し業、プレハブ住宅、ターミナル百貨店……大阪・関西が発祥とされる商品や商法は数多い。しかし、最近は関西発のヒット商品があまり出なくなったと言われる。そうした、東京一極集中と大阪の地盤沈下という流れに抗して、再び大阪を「知の拠点」として生まれ変わらせる起爆剤として期待されているのが、2013年春に誕生した人工の街「うめきた」内の「ナレッジキャピタル」。そこは、新しいサービスや商品の生み出す拠点として作られた「知的創造・交流の場」だ……「最後の一等地」と呼ばれた旧国鉄梅田貨物駅用地を再開発して生まれた「人工の街」の魅力を、イノベーションの視点から読み解くルポ。

◇第1章 ベンチャー、帆をあげ加速
◇第2章 辛口の指摘、開発に生かす
◇第3章 大阪、たこ焼きだけやない
◇第4章 「ナレッジ」、東北からエール
◇第5章 関西の土壌からヒット作を
◇第6章 多様な会員、サロンがつなぐ
◇第7章 未来の仕事、中学生が考える
◇第8章 最先端めざし、世界とコラボ
◇第9章 「新事業を」企業も自治体も
◇第10章 「知」の大阪「面白い」生む


第1章 ベンチャー、帆をあげ加速

 流麗なデザインの車体に、はね上げ式のドア。東京で4月中旬、電気自動車(EV)のスーパーカーの試作車が披露された。報道や業界関係者ら約300人が詰めかけ、次世代のエコカー・EVへの関心の高さを感じさせた。
 開発しているのは京都大学発のベンチャー企業「GLM」(京都市)。小間(こま)裕康社長(39)が切り出した。「自動車産業は変革の時代。ガソリン車からEVに取って代わろうとしています」。新しい車は「G4」と名づけられ、2019年の量産化を予定。想定価格は1台4千万円と高価だが、国内外で1千台の販売をめざす。
 京都大学の大学院生だった小間さんたちは10年にGLMを設立。国産初のEVスポーツカー「トミーカイラZZ(ジージー)」を開発し、15年に販売した。G4は2台目となる。設立7年のベンチャーを率いる小間さんは「企業として次の段階に入ります」と意気込む。

 そんなGLMの知名度アップに一役買ったのが、JR大阪駅北側に13年春に誕生した人工の街「うめきた」(大阪市)。店舗やオフィスが入る建物「グランフロント大阪」に、「ナレッジキャピタル」という名の施設がある。英語でナレッジは知識、キャピタルは資本や首都を意味する。「知的創造・交流の場」として、企業人や研究者、クリエーター、一般の人たちの交流から新しいサービスや商品を生み出そうとつくられた。
 開業時から、GLMはここにトミーカイラの「試作車」を展示している。新しい施設と車のお披露目が重なり、報道されると反響を呼んだ。予想を上回る購入予約の数につながった。
 「EVにも走行音があればおもしろい」。GLMの隣に出展する「三木楽器」(大阪市)の古山(こやま)昭社長(67)との会話がきっかけで、アクセルを踏み込むとエンジン音が響くシステムの共同開発に取り組んだ。「掃除機の音が適していました」と古山さんは愉快そうだ。GLMはさらに電子楽器メーカー「ローランド」(浜松市)と組み、本格的な走行音システムを開発。こちらはトミーカイラのオプションとして実用化された・・・

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大阪地盤沈下を覆せ 知の拠点「うめきた」が面白い理由
108円(税込)

即席ラーメンやレトルトカレー、引っ越し業、プレハブ住宅、ターミナル百貨店……大阪・関西が発祥とされる商品や商法は数多い。しかし、最近は関西発のヒット商品があまり出なくなったと言われる。そうした、東京一極集中と大阪の地盤沈下という流れに抗して、再び大阪を「知の拠点」として生まれ変わらせる起爆剤として期待されているのが、2013年春に誕生した人工の街「うめきた」内の「ナレッジキャピタル」。そこは、新しいサービスや商品の生み出す拠点として作られた「知的創造・交流の場」だ……「最後の一等地」と呼ばれた旧国鉄梅田貨物駅用地を再開発して生まれた「人工の街」の魅力を、イノベーションの視点から読み解くルポ。(2017年5月22日〜6月2日、10900字)

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