政治・国際
朝日新聞社

シリアの子どもの欲しいもの 難民たちの見えない未来

初出:朝日新聞2017年7月21日〜26日
WEB新書発売:2017年9月21日
朝日新聞

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 中東シリアでいわゆる「内戦」が始まったのは2011年。内戦と言っても単なる体制派と反体制派の争いを越え、諸外国やテロ組織を巻き込んで複雑化・泥沼化している。犠牲になるのは常に弱い立場の一般住民、とりわけ何の罪もない子どもたちだ。祖国を追われた子どもたちを追った。

◇第1章 父が、目の前で吹き飛んだ。少年は、言葉を奪われた。
◇第2章 児童婚、私の青春壊した
◇第3章 家族のため、14歳は働く
◇第4章 内戦描く少女、心に傷


第1章 父が、目の前で吹き飛んだ。少年は、言葉を奪われた。

 シリアで内戦が始まって6年。1千万人以上が国内外での避難生活を強いられているが、いまも解決の糸口さえ見いだせない。内戦は生活を根底から壊し、最も弱い子どもたちに深刻な影響をもたらす。
 どんな社会でも子どもたちの声は小さく、かき消されがちだ。祖国・シリアを追われた子どもたちはどんな日々を生きているのか。日本ユニセフ協会の視察に同行し、ヨルダン、レバノン、トルコを歩いた。

 前髪がくるんとカールした6歳のカリド君は一言も発しない。時折わずかにほほえむが、声をかけてもうつむくだけだ。
 トルコ南部ガジアンテップにあるシリア難民のための子ども支援センター。国連児童基金(ユニセフ)が援助し、遊びや歌、カウンセリングで心の傷を癒やして成長を後押しする場だ。
 この日、カリド君は母サルマさん(33)と母の姉ヌールさん(36)、きょうだいらと一緒にセンターに来た。国境が閉鎖される中、半年ほど前に、ヌールさんの子どもを含め計9人でシリアから逃げてきたという。仮名を条件に取材に応じた。

◎6年続いた内戦 生活は壊され、子は心を病んだ
 「カリドは、約9カ月前から口がきけなくなった」とサルマさんは言った。
 シリア北部のアレッポに暮らしていた。「避難先から戻った自宅の玄関先でダーイシュ(過激派組織『イスラム国』のアラビア語略称)が埋めた地雷を夫が踏んだ」。1メートルほど後ろにいたカリド君は、父親の体が真っ二つに吹き飛ぶのを目撃。以来、言葉を失った・・・

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シリアの子どもの欲しいもの 難民たちの見えない未来
216円(税込)

中東シリアでいわゆる「内戦」が始まったのは2011年。内戦と言っても単なる体制派と反体制派の争いを越え、諸外国やテロ組織を巻き込んで複雑化・泥沼化している。犠牲になるのは常に弱い立場の一般住民、とりわけ何の罪もない子どもたちだ。祖国を追われた子どもたちを追った。(2017年7月21日〜26日、5800字)

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