政治・国際
朝日新聞社

明るい共産主義?キューバの今 カストロもゲバラも去って

初出:朝日新聞2017年8月9日〜23日
WEB新書発売:2017年9月28日
朝日新聞

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 東西冷戦下では米ソ対決の象徴でもあったキューバだが、冷戦が終結、米国との国交を回復するなどその存在は様変わりした。革命の父とも言えるフィデル・カストロ氏やチェ・ゲバラ氏が死去(フィデル氏の弟のラウル・カストロ氏が健在)、キューバは新しい時代を迎えている。貧しさの一方で充実した医療、社会主義なのにアメリカ製のオープンカーが似合う国……。その魅力に迫った。

◇第1章 フィデルの姪、性的少数者を守る
◇第2章 銅像は幻になった
◇第3章 父と息子、サルサ半世紀の夢
◇第4章 シャバダバダ…寅さん料理人
◇第5章 農学者が作るルッコラの味は
◇第6章 Uターン 青い鳥か、バブルか
◇第7章 100年の家業、カウボーイの夢
◇第8章 「おやじ」が作る、すてきな横丁
◇第9章 無料で育てる、無料で診る
◇第10章 矛盾うんざり、魅力的


第1章 フィデルの姪、性的少数者を守る

 ゲイやトランスジェンダーたちを守っていく――。臨終の母との約束だった。
 マリエラ・カストロ(55)。キューバの国家評議会議長ラウル・カストロ(86)と、妻で女性連盟会長だったビルマ・エスピンの次女だ。昨年死去したフィデル・カストロの姪(めい)にあたる。
 国立性教育センター(CENESEX)所長を務める。性にかかわる専門家で、「セックス学者」と呼ばれる。
 母ビルマは1950年代、フィデルやラウルとともにゲリラとして戦い、革命後は女性の地位向上に尽力した。
 ラテンアメリカでは同性愛への差別も強く、特に軍事独裁政権によって大勢が殺された。「息子がゲイ。どうすればいい?」とビルマは母親たちから相談を受けていた。キューバでも同性愛者は「反革命的」とされ、強制労働のキャンプに送られた人もいた。
 ビルマは、ナチスが同性愛者を強制収容所に送った例を引き、「同じ過ちを犯さないでほしい」と訴え続けた。
 2007年6月18日、ビルマが亡くなった。少し前、マリエラは母に約束した。
 「大丈夫。あとは任せて」
 じっと見つめて、ビルマは言った。「出来ると思っている?」
 「もちろん」
 ハバナ大教授として教育学を研究し、00年には性教育センター所長になっていた・・・

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明るい共産主義?キューバの今 カストロもゲバラも去って
216円(税込)

東西冷戦下では米ソ対決の象徴でもあったキューバだが、冷戦が終結、米国との国交を回復するなどその存在は様変わりした。革命の父とも言えるフィデル・カストロ氏やチェ・ゲバラ氏が死去(フィデル氏の弟のラウル・カストロ氏が健在)、キューバは新しい時代を迎えている。貧しさの一方で充実した医療、社会主義なのにアメリカ製のオープンカーが似合う国……。その魅力に迫った。(2017年8月9日〜23日、12300字)

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