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朝日新聞社

短いようで長かった「平成」 昭和から何が変わったか

初出:朝日新聞2017年8月27日〜9月1日
WEB新書発売:2017年10月12日
朝日新聞

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 天皇陛下が生前退位して元号が新しくなる可能性が高まっている。単なる区切りに過ぎないと言えばそれまでだが、「明治」「大正」「昭和」「平成」それぞれに、時代の特徴に思いをはせたり、自分の人生と重ね合わせたりする人もいるだろう。「平成」とはどういう時代だったのだろう。2017年は平成29年。世代にもよるが、「激動の『昭和』が終わっていつのまにか結構時間がたっていた」と感じる人もいれば、生まれた時から平成で「『昭和』なんておっさんの世界」という人もいるだろう。簡単に答えの出ることでもないが、「平成」という時代を切り取ってみた。

◇第1章 次代へ、渡し損ねたバトン
◇第2章 さらば「昭和」、若者は立った
◇第3章 ひばりの死、世紀の死
◇第4章 「国民」が溶けていった
◇第5章 20××年の夢と呪縛
◇第6章 女性進出、山は動いたのか/社会部・河原理子
◇第7章 郵便受けの500円、細いつながり


第1章 次代へ、渡し損ねたバトン

 堅苦しい市議会の議場に金髪の青年やセーラー服の女子高校生が座っている。それに向き合う市長や幹部たちの表情は真剣である。
 愛知県新城(しんしろ)市で22日に集まった「議員」たちは、16歳から29歳を対象に公募した若者25人だ。
 未成年による模擬議会のような試みは決して珍しくない。だが、この市では実際に市の予算、つまり税金の使い道を決めさせる。
 その額、1千万円。「若者議会」と名付けて一昨年から始めた事業に、日本中から視察が相次ぐ。
 話は5年前にさかのぼる。英国・ニューカッスル市にある図書館の一室に、大学生だった新城市の竹下修平(26)はいた。平成が始まった翌年の1990年生まれだ。
 テーブルを囲む海外の同年代が雄弁に語るのを聞き、竹下は凍り付く。
 自分は生まれ育った町の自治について深く考えたことはない。だが欧州では、若者による議会を多くの市が設け、政策を議論しているという。英語で話すこと以上に、大きな壁があった。
 「俺たち、まずい。日本やばいって」。竹下は帰国後、すぐに仲間を募って動き始めた。
 間を置かずに、あるニュースが市を揺さぶる。民間研究機関が発表した「消滅可能性都市」に愛知県内の市として唯一、挙げられたのだ。人口減少で2040年までに行政機能の維持が難しくなるという。この危機感もまた、背を押した。
 提案を受け、若者議会を条例化した市長の穂積亮次(64)はこう言う。「今の日本は、若者を踏み台に上の世代が逃げ切ろうとしているようで、以前から忸怩(じくじ)たるものがあった」
 この言葉は、私を含めた多くの中高年が抱いている懸念と重なるだろう。平成の世になって、日本は若い世代に「社会の持続可能性」というバトンを渡し損ねているのではないか・・・

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短いようで長かった「平成」 昭和から何が変わったか
108円(税込)
  • 著者真鍋弘樹、市川速水、近藤康太郎、永井靖二、河原理子、斉藤佑介
  • 出版社朝日新聞社
  • 出版媒体朝日新聞

天皇陛下が生前退位して元号が新しくなる可能性が高まっている。単なる区切りに過ぎないと言えばそれまでだが、「明治」「大正」「昭和」「平成」それぞれに、時代の特徴に思いをはせたり、自分の人生と重ね合わせたりする人もいるだろう。「平成」とはどういう時代だったのだろう。2017年は平成29年。世代にもよるが、「激動の『昭和』が終わっていつのまにか結構時間がたっていた」と感じる人もいれば、生まれた時から平成で「『昭和』なんておっさんの世界」という人もいるだろう。簡単に答えの出ることでもないが、「平成」という時代を切り取ってみた。(2017年8月27日〜9月1日、15500字)

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