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朝日新聞社

各駅停話「大江戸線」 魚市場から原っぱまで 東京の今をつなぐ路線

初出:朝日新聞2017年7月29日〜9月13日
WEB新書発売:2017年10月19日
朝日新聞

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都営地下鉄大江戸線の構想が始まったのは、1968年。西新宿を起点に、汐留や麻布十番、下町をぐるっと回って、練馬までつなげる「6」の字のルートには、副都心を育て、既存の路線と交差させることで、東京の鉄道網を充実させる目的があった。全線が開通したのは、2000年。その間に、新宿を始めとする大江戸線沿線は大きく発展、様変わりした――。「駅」からたどる大人気鉄道ルポ「各駅停話」。今回は東京の大江戸線を取り上げます。

◇第1章 都庁前/摩天楼と大きくなった
◇第2章 新宿西口/ドラえもんが好んだ味?
◇第3章 東新宿/八雲の怪談、誕生の地
◇第4章 若松河田/国勢調査の熱気伝える
◇第5章 牛込柳町/現代美術は地下の癒やし
◇第6章 牛込神楽坂/焼き鳥でフランス気分?
◇第7章 飯田橋/1万円で年間見放題
◇第8章 春日/津和野に人を呼び込む!
◇第9章 本郷三丁目/朝食と専門知識、味わう
◇第10章 上野御徒町/校長が始めた鮮魚店
◇第11章 新御徒町/大空襲、電柱は残った
◇第12章 蔵前/元祖ラジコン、夢乗せた
◇第13章 両国/携帯電話かける…肩に
◇第14章 森下/芭蕉が見つめる隅田川
◇第15章 清澄白河/震災へ備え、地下にあり
◇第16章 門前仲町/こんな所にワイナリー
◇第17章 月島/もんじゃ通り、最古の交番
◇第18章 勝どき 再び開く日を夢見て
◇第19章 築地市場/TSUKIJI、長靴に誇り
◇第20 汐留/企業の神様、移転3度
◇第21章 大門/東京の移ろい眺めた40階
◇第22章 赤羽橋/町の子見守る千の地蔵
◇第23章 麻布十番/「美少女戦士」集う神社
◇第24章 六本木/ぞくっ、酔いも覚める?
◇第25章 青山一丁目/おしゃれはハンガーから
◇第26章 国立競技場/棋史に残る「勝負メシ」
◇第27章 代々木/日本で作る恩返しの味
◇第28章 新宿/墓参り、建物内の寺で
◇第29章 西新宿五丁目/守り神は都会のオアシス
◇第30章 中野坂上/「野菜原点」カレーで健康
◇第31章 東中野/硬派な上映、心揺さぶる
◇第32章 中井/「いちおし」が好物なのだ
◇第33章 落合南長崎/鉄道模型、ジオラマの街
◇第34章 新江古田/先祖代々守った獅子舞
◇第35章 練馬/インド料理人の夫、描く妻
◇第36章 豊島園/そば屋が拝む蕎麦喰地蔵
◇第37章 練馬春日町/たくあんの面影ずしり
◇第38章 光が丘/公園で守るすすき原っぱ


第1章 都庁前/摩天楼と大きくなった

 地上48階建て、高さ243メートルの東京都庁は国際都市・新宿のシンボル。地上202メートルの無料展望室では、外国人観光客が絶えない。7月中旬、フランスから訪れたレンヌ・セバスチャンさん(41)は花崗岩(かこうがん)の外壁を見ながら「パリのノートルダム大聖堂みたい。でも、周りはすごい摩天楼だね」と息をのんだ。
    ◇
 都庁周辺は、日本屈指の超高層ビル群。200メートル以上の高層ビルだけで7棟、高級ホテルも立ち並ぶ。
 かつて、周辺は首都の水がめ・淀橋浄水場が広がる平地だった。東京の人口を分散させる副都心計画が1958年に始まり、再開発がスタート。新宿駅への近さを生かし、商業地が想定された。
 最初の高層ビルとなったのが、71年に開業した京王プラザホテルだ。47階建て、1057室。高さ170メートルは当時、ビルとして日本一。ホテルとしては、世界一だった。
 初代社長の井上定雄氏は建設にあたり、社内に(1)1千室以上(2)超高層――の指示を出した。狙いは、「新宿にニューヨークのような摩天楼を生み、国際化する」ことだったという。
 後に、京王プラザホテルの宴会部副部長も務めた桜井昌能さん(65)は、開業前年に入社した。きっかけは、高校の校内に貼り出されていた「日本一の高さのホテル」の求人。「ホテルがどんなところかは知らなかった」が、文言に心を奪われた。
 開業当初、1500人の従業員のうち半分以上が桜井さんと同じように入社1、2年目だった。記者会見では経営の先行きを心配する声も上がったが、井上氏は「つたなくとも、心がこもっていれば、お客様は必ず満足してくれます」と答えた。
 建設中、むき出しの鉄骨を見学して「このホテルとともに大きくなる」と誓った桜井さんはウェーターから始め、次第に宴会や国際会議などを差配するようになった。100人のスタッフを動かしたこともある。目指したのは、寸分狂わぬ「動線」。講演会の会場前を、宴会を終えた大勢の酔客たちが通らないように気を配った・・・

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各駅停話「大江戸線」 魚市場から原っぱまで 東京の今をつなぐ路線
216円(税込)

都営地下鉄大江戸線の構想が始まったのは、1968年。西新宿を起点に、汐留や麻布十番、下町をぐるっと回って、練馬までつなげる「6」の字のルートには、副都心を育て、既存の路線と交差させることで、東京の鉄道網を充実させる目的があった。全線が開通したのは、2000年。その間に、新宿を始めとする大江戸線沿線は大きく発展、様変わりした――。「駅」からたどる大人気鉄道ルポ「各駅停話」。今回は東京の大江戸線を取り上げます。(2017年7月29日〜9月13日、21300字)

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