科学・環境
朝日新聞社

人工知能を愛せますか? AIは福音か災厄か 世界をめぐって考えてみた

初出:朝日新聞2017年1月8日号
WEB新書発売:2017年10月19日
朝日新聞

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 「10〜20年後、労働人口の49%が、AIやロボットに置き換えられる」「2050年、人工知能(AI)を搭載したロボットと人間が結婚」「新聞記者の仕事もいずれAIにとって代わられる」……。人工知能をめぐって、さまざまな未来予測が飛び交っている。車を運転し、外国語を翻訳する。年老いた親の世話もできるかもしれない。人間の能力を補強する存在は、やがて人間の知性を超え、私たちを脅かすのだろうか。人工知能と暮らす未来は、どんな姿をとるのか。生活、恋愛、学習、犯罪、仕事、倫理はどう変わるのか。朝日新聞GLOBEが総力を挙げて取材しました。人間の記者がAIに挑んだ「野球戦評執筆対決」も収録。

◇第1章 人工知能と「結婚」する日
◇第2章 AIの進化が意味するもの
◇第3章 予測された未来の危うさ
◇第4章 人間は何を学べばいいの?
◇第5章 AI時代に求められる仕事
◇第6章 動き出すデータ大国、中国
◇第7章 技術のショーケース、シンガポール
◇第8章 日本はものづくりで勝負
◇第9章 米国、広がる活用
◇第10章 幸せになるかどうかは、私たち次第だ/スティーブン・ケーブ
◇第11章 記者がAIと速報記事で対決!
◇第12章 取材を終えて/田中郁也


第1章 人工知能と「結婚」する日

 2050年、人工知能(AI)を搭載したロボットと人間が結婚する――。そう断言する学者がいると知り、2016年10月、英ロンドンを訪ねた。
 「AIに関わり始めて数十年。ここ数年、素晴らしい進展を見せています。2017年にはアメリカのメーカーがAIを搭載したセックスロボットを発売するんですよ」。デビッド・レビ(71)は穏やかな口調で語り始めた。
 かつて世界トップ級のチェスプレーヤーだったレビは、30代で引退し、チェスAIの開発に転じた。「当時のAIは幼稚で、簡単に勝てました。それが今や、どんな人間よりも強い」。20年前、チェスの世界王者に勝ったAIは、昨年3月、チェスより複雑な囲碁で世界のトップ棋士を破った。可能にしたのは「ディープラーニング(深層学習)」という新たな技術。膨大な対局データを学習し、「勝ちにつながる手」を自ら考え出したのだ。
 深層学習はいろいろな分野に応用できる。ソフトバンクのロボット「Pepper」は目の前の物体を見分ける。日本マイクロソフトの会話プログラム「りんな」は「雑談力」に磨きをかける。「グーグル翻訳」も昨秋、深層学習を導入し、飛躍的に精度が高まった。

◎人とAIが心を通わせる日
 「あと30年もすれば、人と同じように話せるようになるはずです。誰かを愛しているフリだってできるようになる」とレビは「予言」し、こう期待する。「人付き合いが苦手で伴侶を見つけられず、寂しく暮らす人は多い。一方で、他人と暮らすのを煩わしいと思う人もいる。AIロボットはそんな人たちの選択肢を増やしてくれます」
 AIロボットは限りなく人間に近づこうとしている。大阪大教授の石黒浩(53)が15年に開発したアンドロイド「エリカ」は、皮膚感も人間のそれに近い。受け答えを聞いていると、本当に心があるように思えてくる。石黒は言う。「同じ部屋に1カ月住めば、必ずエリカを好きになりますよ。人間だって、好きだから一緒にいるのか、一緒にいるから好きになるのか、わからないでしょう?・・・

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人工知能を愛せますか? AIは福音か災厄か 世界をめぐって考えてみた
216円(税込)

「10〜20年後、労働人口の49%が、AIやロボットに置き換えられる」「2050年、人工知能(AI)を搭載したロボットと人間が結婚」「新聞記者の仕事もいずれAIにとって代わられる」……。人工知能をめぐって、さまざまな未来予測が飛び交っている。車を運転し、外国語を翻訳する。年老いた親の世話もできるかもしれない。人間の能力を補強する存在は、やがて人間の知性を超え、私たちを脅かすのだろうか。人工知能と暮らす未来は、どんな姿をとるのか。生活、恋愛、学習、犯罪、仕事、倫理はどう変わるのか。朝日新聞GLOBEが総力を挙げて取材しました。人間の記者がAIに挑んだ「野球戦評執筆対決」も収録。(2017年1月8日号、15900字)

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