経済・雇用
朝日新聞社

第4次産業革命入門 人を介さずに動くモノが開く時代

初出:朝日新聞2016年12月27日〜30日
WEB新書発売:2017年11月23日
朝日新聞

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ビッグデータ、人工知能、ロボット、そしてIoT……こうした技術革新がもたらす「第4次産業革命」が、移動(自動運転)、ものづくり(個別大量生産)、小売り(顧客の購買行動に基づく販売)、農業など、人間の衣食住にかかわるすべてを進化させようとしている。「これまでの技術革新の単なる延長と捉えると見誤ってしまう」と坂村健氏は話す。過去の産業革命と同様、流れに乗った国と乗り遅れた国の競争力に大きな差が出るといわれる中で、日本政府は2016年、AIやIoTで、2030年までに735万人の雇用が失われる、との予測を発表した。世界は、そして日本はどう変わろうとしているのか。ダイナミックな動きを紹介する(2016年末時点の情報をまとめました)。

◇第1章 自動運転、業界超えた競争
◇第2章 車の未来、人工知能が主導
◇第3章 IoT、「カイゼン」を圧倒
◇第4章 つながるリスク、車も標的


第1章 自動運転、業界超えた競争

 米西海岸シリコンバレー郊外にある人気のない広大な敷地に、白いペンキがところどころはげ落ちた建物や弾薬庫跡が立ち並ぶ。東京都港区とほぼ同じ広さの敷地に残る「街」で、大きなカメラや大量のセンサーを積んだ車が走り回っていた。
 交差点に立つと、時速40キロほどで近づいてきたホンダの黒いセダンが減速し、停止線の前でぴたりと止まった。赤信号を認識したのだ。屋根の上に三つのカメラ。運転席に人の姿はあるが、機器のデータ確認に忙しく、ハンドルは気に掛けていない。すぐに車はひとりでに発進。ハンドルが勝手に回り、右折して走り去っていった。
 「ゴーメンタム・ステーション」と呼ばれる米海軍基地跡。ここでいま、最先端の自動運転技術を磨く実験が繰り返されている。管理する地元自治体は立ち入りを厳しく制限しているが、2016年11月中旬、一部メディアに許可が出た。
 ホンダは昨年、ここで実験を始めた。実験車を何度も走らせ、運転者に代わる人工知能(AI)の性能を磨く。例えば、交差点での右折時に左から別の車が来たら、7秒の余裕があれば自らの車を先に右折させ、ないと判断すれば譲る。並走する自転車をセンサーで捉え、巻き込まないように曲がる。そんな微妙な判断をAIに学ばせている。現地責任者の藤村希久雄氏は「何百もある技術で採用できるのは一つか二つ。ここでは、実際に試し、失敗を重ねながら確かめられる・・・

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この記事の続きは、WEB新書でお読みいただけます。

第4次産業革命入門 人を介さずに動くモノが開く時代
216円(税込)
  • 著者榊原謙、青山直篤、清井聡、鈴木友里子、栗林史子、福間大介
  • 出版社朝日新聞社
  • 出版媒体朝日新聞

ビッグデータ、人工知能、ロボット、そしてIoT……こうした技術革新がもたらす「第4次産業革命」が、移動(自動運転)、ものづくり(個別大量生産)、小売り(顧客の購買行動に基づく販売)、農業など、人間の衣食住にかかわるすべてを進化させようとしている。「これまでの技術革新の単なる延長と捉えると見誤ってしまう」と坂村健氏は話す。過去の産業革命と同様、流れに乗った国と乗り遅れた国の競争力に大きな差が出るといわれる中で、日本政府は2016年、AIやIoTで、2030年までに735万人の雇用が失われる、との予測を発表した。世界は、そして日本はどう変わろうとしているのか。ダイナミックな動きを紹介する(2016年末時点の情報をまとめました)。(2016年12月27日〜30日、6200字)

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