経済・雇用
朝日新聞社

中国鉄道輸出が世界を席捲する 圧倒される日独仏

初出:朝日新聞2017年11月15日〜17日
WEB新書発売:2017年12月7日
朝日新聞

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日本や欧州の技術を取り込み、2008年に開業した中国高速鉄道の最高時速は、日本の新幹線やフランスのTGV(高速列車)より速い350キロ。2016年末時点で営業距離は2万2千キロに及び、世界全体の65%を占める。製造を事実上独占する国有企業「中国中車(CRRC)」は、過剰なまでの生産力と政府をバックとした政治力、資金力で、世界の鉄道市場を席捲している。タイ、マレーシア、ラオス、カンボジアなど、東南アジアで何が起きているのか。現状をレポートする。

◇第1章 最速350キロ、世界揺さぶる
◇第2章 「大国」日中、競わせるタイ
◇第3章 マレー半島、中国が攻勢


第1章 最速350キロ、世界揺さぶる

 「厲害了、我的国(すごいぞ我が国)CHINA」。そんなステッカーを貼り付けて走る列車がある。白地に赤いラインの高速鉄道「復興号」だ。時速350キロ。商業運転で、世界最速をうたう。
 2期目を迎えた習近平(シーチンピン)体制の政治スローガン「中華民族の偉大な復興」から名付けられた。胡錦濤(フーチンタオ)・前政権時代のスローガンを冠する「和諧(調和)号」を塗り替えるように2017年6月に投入された。

 スマホ決済システム、シェア自転車、ネット通販、そして高速鉄道――。中国メディアがはやす「中国の新四大発明」には、なぜか高速鉄道まで顔を出す。かつては「師匠」(中国誌「財経」)と仰いだ欧州や日本の鉄道技術力への敬意は薄れ、いつのまにか自らの「発明」にすり替えている。
 私も10月、北京から上海まで乗ってみた。
 運転速度を示す車内の電子表示板は、あっというまに時速300キロに達し、最高時で352キロ。東京―博多より少し長い1318キロを4時間半で走った。飛行機よりも2時間ほど遅いが、遅延が目立つ空の便を避け、高速鉄道を選ぶ乗客が増えている。運賃も2等車なら安くあがる。

 サービスも変わった。
 切符の購入はインターネットでできるようになり、窓口の大混雑は激減した。店舗や列車は限られてはいるものの、スマホで食事の「出前」を頼める・・・

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中国鉄道輸出が世界を席捲する 圧倒される日独仏
108円(税込)

日本や欧州の技術を取り込み、2008年に開業した中国高速鉄道の最高時速は、日本の新幹線やフランスのTGV(高速列車)より速い350キロ。2016年末時点で営業距離は2万2千キロに及び、世界全体の65%を占める。製造を事実上独占する国有企業「中国中車(CRRC)」は、過剰なまでの生産力と政府をバックとした政治力、資金力で、世界の鉄道市場を席捲している。タイ、マレーシア、ラオス、カンボジアなど、東南アジアで何が起きているのか。現状をレポートする。(2017年11月15日〜17日、4500字)

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