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朝日新聞社

人事異動に負けない田植え 今日も通勤して農業

初出:朝日新聞2017年8月17日、9月4日、11月20日
WEB新書発売:2017年12月14日
朝日新聞

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 人事異動は勤め人の宿命。とはいえ、長崎県諫早市の水田で農作業のリポートをしていた記者が、大分県への異動を命じられた。でも、農作業はやめない。週末などを利用して月に1回か2回。「耕作放棄ですか?」という皮肉をはね返し、秋には収穫にこぎつけた。首都圏などで農業に興味を持っている勤め人にも参考になるかも知れない。人気連載「アロハで田植えしてみました」は4年目の今回、ひとまず最終章を迎えた。

◇第1章 いつもの毒舌師匠、その翌日に
◇第2章 田んぼの救世主は子ども
◇第3章 サングラスマン、またいつか!


第1章 いつもの毒舌師匠、その翌日に

 「3年教えて、なしていっちょん覚えんかなあ。おいの話、なんば聞いてきたと?」
 今日も元気に師匠が怒る。
 早朝1時間だけの田仕事で、男1匹が1年間食べる米を手に入れようという「なんちゃって農夫」計画も、昨秋、3期目の収穫が終わった。長崎県諫早市にある田結(たゆい)の集落で、耕作放棄されていた田んぼに立ち、人生初の土いじりでなんとか成功した1年目。2年目、すべて人力で試みた。3年目、近所の小学生を言葉巧みに誘い込み、田んぼの面積を倍にした。
 泥の上にも3年。そろそろ農夫っぽい面(つら)構えになってきたかと自分では思っていた。それもこれも、ど素人に一から教えてくれる師匠(70)があったればこそだった。
 へそ曲がりで口が悪いのをのぞけば、教え好きな理想の師匠。「どこの馬の骨」な都会者に、耕作放棄された田んぼを見つけて、1年目は農機具までタダで貸してくれた。
 しかし去年あたりから、雲行きが怪しくなってきた。なんていうか、厳しすぎんか?
 朝1時間しか田んぼに立たないのは、農夫が本業ではないから。あくまでライター人生を全うしましょうというコンセプトなんだが、そんななんちゃって野郎に本気モードで怒ってくる。毎年、指示が増えるようにも思う。
 「空避(からよ)けば造れゆうとったやろう。あんたが馬鹿足で踏むけん、あぜ波が寄ってしもうとるばい。おいがいつまでん教える思うとって、太平楽ばっかい言いよる」
 29センチの馬鹿足はわたしのせいじゃないでしょうよ。まあでも、めげずに田植え準備を早春から続けてきた・・・

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人事異動に負けない田植え 今日も通勤して農業
216円(税込)

人事異動は勤め人の宿命。とはいえ、長崎県諫早市の水田で農作業のリポートをしていた記者が、大分県への異動を命じられた。でも、農作業はやめない。週末などを利用して月に1回か2回。「耕作放棄ですか?」という皮肉をはね返し、秋には収穫にこぎつけた。首都圏などで農業に興味を持っている勤め人にも参考になるかも知れない。人気連載「アロハで田植えしてみました」は4年目の今回、ひとまず最終章を迎えた。(2017年8月17日、9月4日、11月20日、6500字)

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