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文化・芸能
朝日新聞社

圏央道で遺跡がザクザク 埼玉にはこんなにある

初出:2015年10月6日〜2016年3月8日
WEB新書発売:2018年1月18日
朝日新聞

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 首都圏を環状に結ぶ首都圏中央連絡自動車道(圏央道)。首都高速の都心環状線や中央環状線などよりずっと外側、横浜市から千葉県木更津市までを結ぶ総延長約300キロの高速道路だ。埼玉県内には1万カ所以上の遺跡があり、盛んに発掘調査が行われているが、圏央道の予定地から見つかる例も目立っている。その現場を歩いた。

◇第1章 諏訪野遺跡 桶川市/直径180メートルの環状集落
◇第2章 前原遺跡 桶川市/水晶製の勾玉工房跡
◇第3章 富田後遺跡 川島町/「墓」、実は建物の跡
◇第4章 木曽免(きそめん)遺跡 坂戸市/争いなき「ムラ」の環濠跡
◇第5章 宮廻館跡(みやまわりかんせき)・戸宮前館跡(とみやまえかんせき)/北武蔵の覇権、争った舞台
◇第6章 光山(こうざん)遺跡群 川越市・日高市/「高麗郡」建郡以前の拠点か
◇第7章 西久保(にしくぼ)遺跡 狭山市/約2万年前、砂川遺跡と酷似
◇第8章 坂東山遺跡 入間市/石の敷かれた美しき住居


第1章 諏訪野遺跡 桶川市/直径180メートルの環状集落

■地中に土器破片びっしり
 表土を掘り下げていた重機のアームが2、3度宙をかいたかと思うと、ぴたりと止まった。「これ以上は無理です!」。県埋蔵文化財調査事業団の発掘担当者、渡辺清志さん(49)に重機のオペレーターが両手でバッテンを出した。
 2007年5月、桶川市川田谷の諏訪野遺跡の発掘調査。重機が約20センチ掘り下げた地面には、びっしりと土器のかけらが埋もれていた。遺跡の発掘調査では通常、遺構(建物跡や溝・墓穴など)が確認できる深さまで重機で表土を掘り下げてから調査に入る。ところが、ここは遺物の量がやたらと多い。重機作業を断念し、人力でこつこつと表土を掘り下げていった。1メートルおきに置いたカゴが遺物でみるみる満杯になった。

 この「諏訪野ムラ」を横断して圏央道が造られることになり、07年から事前の発掘調査が始まった。約1年半をかけた調査で78軒の竪穴住居跡が見つかった。うち66軒が縄文時代中期中ごろ(約5千年前)のもので、短期間に膨張したムラとみられる。
 さらに諏訪野遺跡は、推定の直径が約180メートルという大規模な環状集落跡とわかった。「環状集落」とは中央に広場や墓域を設け、周りに竪穴住居をドーナツ状に配置した縄文時代の典型的な拠点集落。嵐山町・行司免遺跡などと並び、県内最大規模だ。集落の住居跡は直径4〜7メートル、深さは大半が40〜50センチあった・・・

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