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朝日新聞社

報告・パラダイス文書〔2〕 アフリカに見る収奪の実態

初出:2017年12月6日〜13日
WEB新書発売:2018年1月18日
朝日新聞

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 アフリカで鉛の採掘を進める欧州の巨大商社。その鉱山で働いていた地元の男性は、時給90円以下だった。一方、同社が英領バミューダ諸島の法律事務所に支払う手数料は時給換算で8万円超。同社のためにバミューダ諸島に用意された部屋には誰もいないが、書類上は膨大な利益を上げたことになっている。同諸島などタックスヘイブン(租税回避地)の実態に迫るシリーズ第2部は、多国籍企業の税逃れでしわ寄せが及ぶアフリカの実情を現地から報告する。

◇第1章 アフリカ、鉱山の村置き去り
◇第2章 鉱脈見つけても報われず
◇第3章 土地譲った返礼、どこへ?
◇第4章 貧困救う基金、潤う「鉄の女」
◇第5章 「村を軽視」2千人が抗議
◇第6章 「庶民派」新市長も阻まれた
◇第7章 流出し続けるアフリカの富


第1章 アフリカ、鉱山の村置き去り

 はるか北に広がるサハラ砂漠からの砂ぼこりで視界がかすむ。西アフリカ・ブルキナファソ。乾いた大地に日差しが照りつけ、日中の気温は35度を超える。
 11月29日、チャーターしたトヨタの四駆で首都ワガドゥグから西へ2時間半。赤土のでこぼこ道で、轟音(ごうおん)を立てる大型トラックとすれ違う。やがて厳重に警備された正門が現れた。

 「ナントウ鉱山」。スイスの巨大商社「グレンコア」が鉛の採掘を進める。「パラダイス文書」は、この鉱山開発で生み出された利益がタックスヘイブン(租税回避地)に移されている現実を暴いた。
 鉱山近くのペルコア村を訪ねた。泥で塗り固めた粗末な家が並ぶ小さな集落。子どもたちが裸足で、豚や鶏と一緒に走り回る。
 2年前までナントウ鉱山で働いたというバリ・サビエ・バドさん(40)はここで、16人の家族と暮らす。
 機械工助手として働き、月給は7万5千CFAフラン(1万5千円)だった。キビやアワを育てる自給自足の生活で、足りない分をわずかな給料でまかなった。子どもを学校にやるにも苦労した。水不足で衛生環境も悪く、2人の子どもを幼くして亡くした。
 開発を受け入れれば村が潤う――。鉱山開発が始まった30年前の約束は守られなかった。「孫の代までここで仕事をして、きっと村は豊かになる」。そんな村人の期待は裏切られた・・・

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