教育・子育て
朝日新聞社

「子どもがほしい」の向こう側 夫婦は無言で署名した…

初出:朝日新聞2017年4月12、13日、8月31日、9月1日
WEB新書発売:2018年2月1日
朝日新聞

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大阪府内に住む30代の夫婦は、死産や流産を繰り返す「不育症」に悩まされた。6度目の妊娠では妻の体調が激変。中絶の同意書を手渡され、夫婦は無言で署名した。体調が戻らない妻を病院に残し、夫は小さな棺を火葬場に運んだ。何度も治療をやめようと考えたが、子どもがほしいと願う気持ちに踏ん切りがつかなかった。そして夫婦は7度目の妊娠を迎えた。不育症は治療を続ければ8割が出産に至るとされるが、その間に夫婦は様々な場面で苦しむ。周囲が励まそうとした言葉で、悲しみを助長することもある。

◇第1章 流産・死産編1/不育症、妊娠7回目で出産
◇第2章 流産・死産編2/悲しみ認め合い、心重ね
◇第3章 傷ついた言葉編1/励ましが悲しみ深めることも
◇第4章 傷ついた言葉編2/生殖心理カウンセラーに聞く


第1章 流産・死産編1/不育症、妊娠7回目で出産

 大阪府内の住宅街に、夫(39)と妻(38)が暮らす家がある。リビングのゆりかごで、昨年生まれた長男が眠る。流産や死産を繰り返す「不育症」に悩みながら、7回目の妊娠で授かった子だ。

■悩み持つ人へ「あなたは一人じゃない」
 2009年に結婚。3カ月後、妊娠検査薬に反応があったが、受診する前に生理が訪れた。それが3回続き、4回目に初めて胎児の心拍が確認できたものの、流産した。
 検査をして、胎児の染色体異常が原因ではないとわかった。医師の勧めで受診した専門の病院でも、原因は分からなかった。胎盤の血流が悪かった可能性があると指摘を受け、不育症と診断された。
 不育症は両親の染色体や免疫の異常による場合もあるが、半数は原因不明という。妻は処方された血流を改善するためのアスピリンと、漢方薬を飲み始めた。
 その後も流産し、14年5月に妊娠したときは、継続する可能性を高めるため、薬の種類を増やした。初めて妊娠12週を超え、うれしさと同時に育った子どもを失うかもしれないと、不安が膨らんだ。
 それからしばらくして、妻の体調が激変した。嘔吐(おうと)を繰り返し、顔や体が見るからにむくみ始めた。病院に駆け込むと、血圧が急激に上がっていた。母子の命が危ないと、大学病院に救急搬送された。妊娠高血圧腎症だった・・・

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「子どもがほしい」の向こう側 夫婦は無言で署名した…
216円(税込)

大阪府内に住む30代の夫婦は、死産や流産を繰り返す「不育症」に悩まされた。6度目の妊娠では妻の体調が激変。中絶の同意書を手渡され、夫婦は無言で署名した。体調が戻らない妻を病院に残し、夫は小さな棺を火葬場に運んだ。何度も治療をやめようと考えたが、子どもがほしいと願う気持ちに踏ん切りがつかなかった。そして夫婦は7度目の妊娠を迎えた。不育症は治療を続ければ8割が出産に至るとされるが、その間に夫婦は様々な場面で苦しむ。周囲が励まそうとした言葉で、悲しみを助長することもある。 (2017年4月12、13日、8月31日、9月1日、6700字)

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