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文化・芸能
朝日新聞社

英王室と天声人語 ダイアナ妃の思い出

初出:1986年5月13日〜2017年5月11日
WEB新書発売:2018年2月15日
朝日新聞

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朝日新聞の名物コラム「天声人語」から英王室を取り扱った回を集めた傑作選。エリザベス女王、ダイアナ妃、そしてシャーロット王女を、天声人語はどんな目で見つめたのでしょうか。名コラムの筆の冴えをお楽しみください。

◇第1章 英皇太子のユーモア感覚(1986年5月13日)
◇第2章 エリザベス英女王の「ひどい年」(1992年11月26日)
◇第3章 ダイアナ英皇太子妃、BBCのインタビューに応じる(1995年11月22日)
◇第4章 ダイアナ元英皇太子妃、パリで事故死(1997年9月1日)
◇第5章 日本の皇太子夫妻、ダイアナ元英皇太子妃の葬儀出席辞退(1997年9月6日)
◇第6章 ダイアナ元英皇太子妃、異例ずくめの葬儀(1997年9月7日)
◇第7章 「英王室のバラ」の残り香(2007年8月27日)
◇第8章 英王室のシンデレラ(2011年4月29日)
◇第9章 シャーロット騒動(2015年5月9日)
◇第10章 最長在位の英女王(2015年9月13日)
◇第11章 英王子たちの勇気(2017年5月11日)


第1章 英皇太子のユーモア感覚(1986年5月13日)

 チャールズ皇太子の国会での演説は、『福翁自伝』を引用した格調の高いものだった。皇太子はさらに「徳仁親王殿下がオックスフォード大学を留学先に選ばれたことは英国人にとっては大きな名誉でした」といってから、つけ加えた。「もっとも、ご留学先の選定で、もし私の意見を求められたら、多分私の母校ケンブリッジをお薦めしていたでしょう」▼皇太子のユーモア感覚については定評がある。大相撲見物のあと、日英協会のレセプションに出席し、握手攻めでもみくちゃにされた。「今日は相撲を見て来ましたが、ここでは相撲をとることになりました」▼さらに。「私が16年前、大阪の万博に来た時、在日英国人は約3000人でしたが、今は約7000人です。まだふえ続け、日本の人口爆発に貢献していることをうれしく思います。在英日本人は約2万人でなおふえつつあるので、まあ、フェアな関係です」▼この笑いには、貿易不均衡についての皮肉もある。乾杯の時、「温かいもてなしをありがとうございます」といったが、手にする酒がない。即座に「でも、もてなしがきませんね」▼皇太子は学生時代、軽演劇で喜劇を演じたそうだ。道化になって人を笑わせることを楽しみにした。王子誕生の時、記者団の質問が飛んだ。父親似ですか。ほおに口紅の跡をつけたまま病院からでてきた皇太子は答えた。「いや、幸運にもそうじゃありません」(フィッシャー夫妻著『チャールズ&ダイアナ』)▼皇太子は訪日前「日本の人びとに妻を紹介するのを楽しみにしています」と語っていたが、皇太子が紹介してくれたのは、ダイアナ妃の優美さとファッションだけではなく、英国流のユーモア感覚だった▼このユーモアを「人間のすることを、自ら憐れみ、笑い、人間をいつくしむことを知っている」ものの笑いだ、と故福原麟太郎さんは書いている。こればかりは、ちょっとやそっとでは輸入できない・・・

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