1984年、結婚25年を迎えた会見で、天皇陛下は「家庭という身近なものの気持ちを十分に理解することによって、初めて遠い所にある国民の気持ちを実感して理解できるのではないか」と語りました。天皇陛下が「家庭らしさ」にこだわったのはなぜか。その思いを4章で考えます。
◇第1章 時代映した「マイホーム型」
◇第2章 伝統越えて、温かい家庭貫く
◇第3章 「3者会談」親子の思い共有
◇第4章 平和への思い、子へ孫へ継ぐ
傘寿を迎えた天皇、皇后両陛下が、子どもの絵の展示の前で足を止めた。
2014年10月。東京都内で開かれた両陛下の傘寿記念展。オレンジ色の乗り物の絵は皇太子さま。怪獣の絵は秋篠宮さま。色とりどりの草花の絵は黒田清子さん。幼稚園時代に皇后さまのためにエプロンに描いたものだ。
「みんなそれぞれで」。皇后さまはそう言って目を細め、天皇陛下も笑みを浮かべた。
戦後、初めて象徴として即位した天皇陛下。被災地訪問など国民の中に分け入る「平成流」を確立したが、3人の子の父としても前例とは違う、新しい時代のスタイルを貫いた。
皇太子時代には、浩宮さまが通う学習院幼稚園の運動会に出かけ「おとうさまの部」に出場した。体に風船をくくりつけ、ほかの父親たちと一緒に走った。
「マイホーム型に過ぎる」。そんな批判にさらされることもあった・・・