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医療・健康
朝日新聞社

がんでも産みたい 希少がんとの闘い(患者を生きる)

初出:2017年12月25日〜29日
WEB新書発売:2018年3月1日
朝日新聞

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 「赤ちゃんの誕生日まで生きていられるかな。1歳になる姿を見られないかもしれない」。長女出産後のひどい頭痛やめまいは、「小腸GIST(消化管間質腫瘍)」によるものだった。GISTは、胃や小腸など消化管の壁にできる肉腫というがんの一種。患者が極めて少ない希少がんの一つで、治療手段が限られる難しい病気だ――。希少がんと闘いながら次女を出産した女性の体験記。

◇第1章 腹部のしこり「まさか」
◇第2章 娘思い「効く抗がん剤を」
◇第3章 2人目に向け休薬を決断
◇第4章 次女誕生、夢がかなった
◇第5章 情報編/妊娠する力の温存、指針


第1章 腹部のしこり「まさか」

 2012年の夏、兵庫県加古郡に住む女性(35)は初めて赤ちゃんを産んだ。女の子だった。
 妊娠から出産までに受けた診察や血液検査では特に異常は見つからなかった。ところが、出産後にひどい頭痛が起こり、動悸(どうき)やめまいにも悩まされた。
 頭がズーンと重たい感じが続き、胸がどきどきして階段の上り下りができないほどきつくなった。日中も横になって過ごすことが多くなった。
 「どうしたんやろ。お産のせいかな」
 子どものころから頭痛持ちだったこともあり、産後の疲れのせいかと考えた。そのうち、「シャワシャワ」といった耳鳴りも起こった。寝る前などに血の気がすーっとひくような感じがすることも。
 「なんかおかしい」。心配になって近くのクリニックなどを受診したが、原因は分からなかった。
 秋には貧血の症状も出た。近所の婦人科で血液検査を受けた結果、ヘモグロビン値4・5という低い数値が出た。鉄分を補う鉄剤注射を何度も打って再び検査を受けたが、ヘモグロビン値は上がってこない。地元の県立加古川医療センターでCTを受けたところ「小腸GIST(ジスト)(消化管間質腫瘍〈しゅよう〉)の疑い」と診断された。
 GISTは、胃や小腸など消化管の壁にできる肉腫というがんの一種。患者が極めて少ない希少がんの一つで、治療手段が限られる難しい病気だ。
 最初に病名の説明を受けたときは、それほどたいした病気だとは思わなかった。「GISTってなんですか? まさか悪性じゃないですよね」。主治医の中村毅(なかむらたけし)さん(63)に問いかけた・・・

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