【お知らせ】WEB新書は閉店しました。

経済・雇用
朝日新聞社

羽田空港を支える人々 年間8000万の利用者を迎えて

初出:2017年3月27日〜6月5日
WEB新書発売:2018年3月8日
朝日新聞

このエントリーをはてなブックマークに追加

 国際線の利用客が急増している羽田空港(東京都大田区)では、多様な分野で約4万4千人もの人が働いています。成長著しい国際線を中心に、お仕事の現場を紹介していきます。

◇第1章 管制官/飛行機誘導、フル回転
◇第2章 グランドスタッフ/笑顔で寄り添い、定刻厳守
◇第3章 入国審査官/不審者逃さぬ、細かくチェック
◇第4章 旅具検査官/密輸・徴税逃れ、「嗅覚」で防ぐ
◇第5章 清掃スタッフ/「キレイで当然」黒衣の誇り
◇第6章 コンシェルジュ/幅広い困りごと、笑顔で応対
◇第7章 営業企画担当/ターミナルにわくわく演出
◇第8章 運航情報官/駐機場割り当て、複雑なパズル
◇第9章 輸出貨物の取扱担当/定刻厳守、書類整え送り出す


第1章 管制官/飛行機誘導、フル回転

■瞬時に迫られる選択・決断
 羽田空港の中央に細長い柱のような建物がある。空港で飛行機の交通整理をつかさどる管制塔だ。地上110メートルの円形の運用室は360度ガラス張り。管制官の境澤多賀也(たかや)さん(34)はそこから約10人の仲間と飛行機の動きを注視する。業務中はほぼ立ったままだ。
 「リクエスト タクシー」「リクエスト プッシュバック」――。
 発着のピークとなる午後4〜6時。移動許可を求める機長らの声が、無線からひっきりなしに聞こえてくる。管制官同士のやりとりも飛び交い、室内は一段とにぎやかになる。ヘッドセットのマイクで機長らと交信しながら、片耳で室内の様子も把握する。風向きなどの気象データ、便名や飛行経路が記された細長い運航票……。視線は常にあちこちに動かす。無線から流れる言葉をメモしながら、的確に指示を返していく。「しゃべりながら全体を見て、飛行機の位置関係を考える。頭はフル回転です」
 離着陸の許可や、滑走路と駐機場を結ぶ誘導路の経路などを決める管制官の役割は、いわば「進め」「止まれ」を指示する信号だ。一歩間違えれば、飛行機同士が衝突する大事故になりかねない。極度の集中力が必要なため、1人の管制官が見るエリアや担当は30分〜1時間ごとに交代する。席を移動しながら、1日で8席ほどを担当する。
 羽田空港には4本の滑走路と誘導路があり、毎日の離着陸便はほぼ決まっている。誘導路の進行方向や離陸でよく使う滑走路など基本の運用ルールもある。だが、天候や遅延などで状況は刻々と変わる。飛行機は向かい風で離着陸するので、風向きが変わるとルール自体が変更される。毎日同じようにはいかない・・・

このページのトップに戻る