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科学・環境
朝日新聞社

民間主導の宇宙開発新時代 1000社の宇宙ベンチャーの活躍

初出:2017年11月5日〜2018年2月8日
WEB新書発売:2018年3月15日
朝日新聞

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 冷戦時代、米国と旧ソ連による競争で激化した宇宙開発だが、2000年頃から、起業家を始めとする民間主導の動きが先行するようになった。月面探査の国際レース(※)、高度100キロの「カーマン・ライン」を目指す「スペースプレーン」、安くて小さなロケットの製品化への動き、小型衛星から打ち出す、「人工流れ星」、月の極地に眠るとされる水資源の活用を視野にいれた月面への再度の本格探査計画……。人類史の新たなページをめくりつつある宇宙開発の動きを追いました。※Xプライズ財団による月面探検レースは2018年1月に中止が発表されましたが、それについて報じた本書第1章の記述は2017年11月時点の事情を元にしています。ご了承ください。

◇第1章 月へ火星へ、「民」こそ主役
◇第2章 月探査、競い合うベンチャー
◇第3章 「航空機」で宇宙旅行へ
◇第4章 格安小型ロケット、市場参入へ
◇第5章 人工流れ星に農漁業…活用拡大
◇第6章 狙いは水、始まったレース
◇第7章 月探査、資金・技術の壁/ハクト、挑戦続ける意思


第1章 月へ火星へ、「民」こそ主役

 世界初の人工衛星「スプートニク1号」を旧ソ連が打ち上げてから60年。宇宙開発は国が主導した時代から民間企業が大きな役割を担う時代へと様変わりした。国内でも今年、月探査機の開発や小型ロケットの打ち上げが本格化。宇宙空間を新たなビジネスにつなげようとする試みが広がっている。

■日本発「宇宙を身近に」/資源探査・人工衛星の小型化
 銀色に輝く耐熱材や太陽電池に覆われた長さ約60センチの車体。直径18センチの車輪は、水車のような羽根が付いている。この探査車「SORATO(ソラト)」が走るのは、地球から38万キロ離れた月の表面だ。
 開発を手がけるのは、日本の宇宙ベンチャー・ispace社が運営するチームHAKUTO(ハクト、袴田武史代表)。10月30日から組み立てが始まった。
 ソラトは世界の5チームが競う民間月探査レースに、日本から唯一参加している。来年3月までに月面に着陸して画像送信などの課題をクリアし、賞金2千万ドル(約23億円)の獲得をめざす。開発・打ち上げ費は計11億円。ハクトはKDDIや日本航空、朝日新聞社など31社が支援している。
 レース参加のねらいは、高い技術の確立だ。月面は宇宙放射線にさらされ、昼は100度以上、夜は零下150度以下になる。レースで探査車の能力が実証できれば、月面での鉱物や水資源の探査や採掘サービスにつながる。近い将来、各国が月探査を本格化させる際に売り込む算段だ。
 袴田さんは「月面の開発が進めば、資源探査の必要性はさらに高まっていくだろう」と話す・・・

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