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朝日新聞社

平昌五輪から学べ インスタ映えする聖火リレー・深夜で客席ガラガラ…

初出:2018年2月9日〜2月26日
WEB新書発売:2018年3月15日
朝日新聞

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 韓国・平昌冬季五輪が終わった。聖火リレーに参加した記者によると、SNS映えを狙ってかスタッフが走者に細かく指示を出し、撮影ポーズをとらせた。2020年の東京五輪でも似たようなことになりそうだが、「復興五輪」を掲げて被災地を走る予定だけに、お祭り騒ぎになり過ぎない配慮が必要かも知れない。スキー・ジャンプ男子ノーマルヒルの金メダルが決まったのは午前0時過ぎ。欧州でのテレビ放送時間に合わせたうえ、天候の影響で遅れたためだが、あまりにも深夜で客席はガラガラだった。東京は平昌から何を学ぶべきか、学ばないべきか、まとめてみた。

◇第1章 スター育成、曲がり角/韓、英才教育も 日、草の根も悩みは少子化
◇第2章 聖火リレー、SNS映え狙う/走ってみると、注文次々
◇第3章 草の根の担当同士、ノウハウを伝授
◇第4章 逆転で金、その時客席ガラガラ/10日のジャンプ男子
◇第5章 天候調べ選手支援、商機あり
◇第6章 警備200項目、参考に
◇第7章 友好の自撮り、次も
◇第8章 あなたの温室ガス、1000円なり
◇第9章 忘れ物、戻る五輪に
◇第10章 歴史知り、良い関係
◇第11章 言葉使えば、世界広がる
◇第12章 恵まれない子こそ、スポーツの機会を
◇第13章 「一校一国運動」、心に残る体験を
◇第14章 「負債」にせぬ知恵を
◇第15章 闘う、LGBTへの差別と
◇第16章 渋滞緩和へ2部制
◇第17章 車いすで移動、It’s possible
◇第18章 2020年、待望の舞台/「次はメダル」成長の証し


第1章 スター育成、曲がり角/韓、英才教育も 日、草の根も悩みは少子化

 平昌から南西へ約150キロ。「鎮川選手村」は8日、いつもと変わらぬ空気が流れていた。「残っているのは夏季競技の選手です」と広報担当のキム・サンギさん(32)は笑った。
 「選手村」は国営のトレーニングセンターだ。泰陵(1966年)、太白(98年)に続いて昨秋完成した。160万平方メートルの敷地に宿泊棟と21の練習施設、高度な医科学研究を活用した指導――。各地から選ばれた最大で35のスポーツの1150選手が、寝泊まりしながら練習に励む。

 韓国代表の実力者、女子スピードスケートの李相花(28)も小学生から泰陵で滑った。「女子に有力選手がおらず、男子と練習していた」と当時のコーチはいう。14歳で国際大会デビュー。2010年バンクーバー、14年ソチで連続五輪金メダルと駆け上がった。
 韓国の子どもにとって、乱暴に言えばスポーツに関してはエリート選手を目指すか、見る方に回るか、二者択一を迫られる。
 頂点を目指すなら体育中学(11校)、体育高校(16校)へと進む。そこで認められれば国代表やその候補として、晴れて選手村に入ることができる。
 スポーツにこだわらなければ環境は大きく異なる。一般の中学・高校で体育の授業や部活動は軽視されているからだ。厳しい受験競争が、その背景にある。
 「韓国はトップ選手の活躍を見て子どもが憧れる。けれど少子化の今は、マイナー競技の人材確保は大変だ」。新しく選手村の支援を受けるスカッシュの姜虎錫監督(43)は憂えた。
 韓国で00年に63万人だった出生数は減り、16年は40万人だった。朝鮮戦争後、国威発揚を意識して始まったスポーツ英才教育の曲がり角といっていい・・・

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