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消えた1枚のファクス 安定ヨウ素剤はなぜ服用されなかったのか

初出:2011年10月17日号
WEB新書発売:2011年10月21日
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消えた1枚のファクス 安定ヨウ素剤はなぜ服用されなかったのか 


 福島県内の子どもたちの甲状腺被害が浮上している。
 甲状腺の被曝を予防する安定ヨウ素剤はなぜ配られなかったのか。

◇浮上した甲状腺被害
◇「回収を指示します」
◇国は県知事に指示
◇服用効果を過小評価




 いま、政府、関係学界の一部である疑惑が渦を巻いている。あの「3・11」後の暫くの間、国の原子力災害対策本部(以下、対策本部、本部長は首相)の事務局内でいかなるサボタージュが発生していたのか、と。
 放射性ヨウ素の被曝による甲状腺がんを防ぐには、一定線量の被曝の可能性のある者には非放射性の安定ヨウ素剤を服用させた方がいい──。原子力安全委員会(以下、安全委)事務局が、その旨を助言した文面を対策本部事務局に送ったのは、3月13日午前10時46分のことだった。

 だが、結論から言うと、対策本部は何もしなかった。実際には福島第一原発の周辺などの住民のごく一部はヨウ素剤を服用したが、それは自治体、住民側の自主的行動だった。
 安全委の助言の直後に、事態の悪化に即応したヨウ素剤服用を対策本部が福島県側に指示していれば、3月12日午後3時36分の1号機の爆発には間に合わずとも、14日午前11時1分の3号機、15日午前6時ごろの4号機での爆発、同日午前6時10分ごろの2号機での何らかの破損による大量の放射性物質の飛散には間に合ったはずだ。

浮上した甲状腺被害

 だが、そうはならなかった。
 安全委事務局の都筑秀明管理環境課長ははっきり、
 「(助言は)ファクスで送付した」
 と述べ、証拠として前出の文書まで示した。だが、対策本部事務局の担当職務を兼ねる松岡建志経済産業省原子力安全・保安院原子力防災課長はこう話す・・・

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