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朝日新聞出版

被災地の鉄道はどう復旧すべきか

初出:2011年11月7日号
WEB新書発売:2011年11月11日
AERA

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被災地の鉄道はどう復旧すべきか


 元のルートで早期再開するのがいいのか、多少時間がかかっても津波に備えて高台へ移転すべきなのか。東日本大震災で寸断された被災地の鉄道網。 『震災と鉄道』(朝日新書)を出した原武史さんと、08年に廃線となった第三セクター、高千穂鉄道の復活に奔走する作家の高山文彦さんが、語り合った。

◇遅れれば地元に対立
◇心配なのはボルテージ
◇大船渡線の苦悩
◇北海道を見れば
◇郷愁もビジネス




■原武史

■高山文彦

──東日本大震災は、鉄道路線にも大きな被害をもたらしました。震災から7カ月が経過した現在でも、JR東日本と岩手県の第三セクター「三陸鉄道」のあわせて9路線、約390キロが不通のまま。太平洋岸ではJR八戸線、仙石線、常磐線の一部区間と、三陸鉄道北リアス線の一部区間のみが動いていますが、まず、この現状をどう見ていますか。

原 10月に出したばかりの新書『震災と鉄道』でも触れたのですが、震災後の4月26日、私は岩手県の被災地に行き、三陸鉄道の切符60万円分を支援のために購入しました。三陸鉄道は震災のわずか5日後に3駅間のみながら北リアス線の運転を再開し、3月いっぱい運賃を無料にしています。経営の苦しい第三セクターが採算を度外視して復旧を急いだことに、深く感銘を受けました。

遅れれば地元に対立

高山 私も三陸鉄道再開の話を知って、4月に乗りに行きました。25人くらい乗ったらいっぱいになる小さな列車で、震災後初めて顔をあわせた人たちが「ああ、生きてたか」って会話していた。窓を見ると、パソコンで「復興支援列車」と打った紙がはってある。自分たちも被災したのに「支援」という言葉を使うという心意気に感動しました。

原 三陸鉄道の望月正彦社長は震災直後に被害現場を見て回り、一部区間の復旧を即決したそうです。大きな余震や津波がまだあるかもしれないが、リスクを背負って運転を再開した。運転再開の日、時速25キロで試運転を始めたとき、車にばかり乗っていた人たちも総出で線路端に行って、列車に向かって手を振ったと言います。社長の独断が、結果的には地元の人たちを勇気づけたのです・・・

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