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世相・風俗
朝日新聞出版

もう怒りたくない 私はこうして怒りを抑えてます

初出:2011年12月12日号
WEB新書発売:2011年12月16日
AERA

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もう怒りたくない 私はこうして怒りを抑えてます


 一生懸命抑えている分、ふとした瞬間に爆発させて、後悔する。
 皆さん、どうやってつきあってるんですか?

◇カバンたたきつける男
◇怒ると疲れるだけ
◇手帳に書きとめる
◇まずはフリーズドライ
◇怒りは公害
◇怒りは依存、反応しない状態を取り戻す
 ――小池龍之介さん




 うるさいな。
 夜7時半、静かな通勤電車で、さっきから若い男が携帯電話でずっと話している。しかも、優先席にどかんと座って。
 車掌がやってきて、「通話はやめてください」と言っても、「はいはい、わかりましたー」と答えるだけ。
 「やめろ、言うてるやんけ!」
 奈良県に住む銀行勤務の男性(46)は気づいたらこの男の胸ぐらをつかみ、大声で叫んでいた。隣にいた上司が「やめとき!」と止めてくれなかったら、確実に殴っていたと思う。男は黙って電話を切った。
 「お前いつか刺されんで。最近何するかわからん奴多いし」
 「でもこれあかんでしょう、なんぼなんでも!」
 その後も男と遠目に睨み合い、また上司に止められを繰り返し、やがて先に男が降りていった。
 自分でもすぐにムカッとくることを自覚している。そんな自分が嫌だ。会社でも、ずっと怒った顔をしているらしい。最近の原因はわかっている。いまの支店長だ。
 5年前に一緒に働いていたときは「しゃーないな」が口癖で、失敗もかばってくれた。だが最近、昇進して戻ってきた彼は別人になっていた。営業目標数値を細かく設定しながら、残業は許さない。一日中自転車で営業に回って報告すると、
 「僕は言いました。できないのはあなたのせいです」
 そんな口調で機械的に責められる毎日。言い返すこともできず、夜も土日も疲れて家で寝るだけ。でも眠りは浅く、怒っている何かに追いかけられ、最後はつかまって怒られる夢ばかりみる。ああ、インドで井戸を掘るとか、誰かの役に立つことがしたい……。
 「そういう鬱憤の矛先が、電車内の彼に向かってしまったような気もするんですよね・・・

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