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世相・風俗
朝日新聞出版

放射能から子どもを守れ ママから始まる日本の「革命」

初出:2011年12月19日号
WEB新書発売:2011年12月22日
AERA

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放射能から子どもを守れ ママから始まる日本の「革命」


 3・11の原発震災を機に日本の母親たちが立ち上がった。
 汚染を自ら調べ、子を守る対策を国・行政・企業に掛け合う。
 それぞれが持てる能力の「持ち寄り」で、しなやかに。
 地に足のついた『ママ・レボリューション』で、現実を変えている。

◇初めての陳情書
◇つぶやき、つながる
◇得意分野で貢献
◇「チーム饒舌」が交渉役
◇募金で130万の機器
◇「東電回答」に満足せず
◇座り込みながら編み物




 11月下旬に開かれた東京都北区の区議会本会議の傍聴席は、いつになく熱気を帯びていた。
 この日は防災、高齢者問題などと並び、放射能汚染対策が議題にあがった。放射線量測定や除染対策、給食食材測定など、補助席まで設けられた傍聴席に詰めかけた母親たちは、一言も聞き漏らすまいとメモを取りながら議論に聞き入った。
 集まったのは「北区子どもを放射線から守る会」のメンバー。子連れの母親がぐずる子どもを議場の外であやしていると、別のメンバーが、
 「区長の答弁が始まるよ!」
 と呼び戻しに来た。
 3歳の娘がいる江川美樹さん(42)は会の立ち上げからかかわっている。自営の仕事の合間を縫って活動し、保育園に通う娘には給食と同じメニューの弁当を作る。睡眠時間は4時間を切ることも多い。活動のために区役所を訪れるときも子連れ。折り紙をさせたり遊ばせながら、少しの空き時間に署名を依頼する手紙の宛名書きをする。
 「私たちは、右も左もわからなかった普通の母親。それが全会派をまわって陳情を出し、署名を集め、一つひとつ行政交渉を積み重ねている。自分の中の何がここまで動かすのか……」

初めての陳情書

 会発足のきっかけは、「ピンクのパンフ」だった。厚生労働省が出した「妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線へのご心配にお答えします」という内容。「安心・安全」と繰り返しているだけで、逆に不信感を抱いた。「水は? 園庭は?」と次々に疑問が浮上し、区役所に何度も問い合わせた。納得のいく答えは得られず、不安な思いをつぶやいたツイッターで知り合った他の母親たちと会を結成した。
 議会への陳情も署名活動も、すべてが初めて。陳情を出さないと議会にも取り上げてもらえないことさえ知らなかった。6月に議会に出した初めての陳情では、どんなフォーマットで何を書いてよいのか見当もつかず、ツイッターでつながった他の区の母親たちが提出した請願書をひな型にし、自分たちの希望を盛り込んで、何とか仕上げた。思いが先走った陳情書に、議員から「ストレートすぎても、うまくいかないのよ」とアドバイスされたこともある。対立するだけでなく、丁寧にコミュニケーションをとった。区長や議員に会えば、にこやかに挨拶した・・・

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