医療・健康
朝日新聞出版

なんちゃって鬱 オフィスで増殖する新症例

2012年06月29日
(8800文字)
AERA

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 職場でも家庭でも「新型うつ」を訴える男女が増えている。「些細なことで挫折」し、「悪いのは他人」と主張するタイプに多く、「うつ状態」「適応障害」といった診断書を提出すると長期休職に入る。休養中に共通するのは、仕事や家事は無理でも趣味など楽しいことはできる。そのため、周囲の理解を得られずに孤立する患者がいる一方、「空席人件費」に悩む企業や学校も多い。「新型うつ」は病気なのか。中年男性に多い「従来型」、若い女性に多い「非定型」との違いを示し、「新型」を生む社会背景を探る。

◇新型うつが日本を蝕む
◇「なんちゃって鬱」の病巣 「新型うつ」は病気か


新型うつが日本を蝕む


 あなたの周りにもいませんか。「新型うつ」を訴える人。
 明らかにこれまでのうつ病とは違う症状だが、職場でも家庭でも、
 いま日本中で大増殖している。

 思わず声が出た。
 「なんでそこにいるんだよ!」
 IT系ベンチャー企業で部長格の男性(37)は、昼休みにオンラインゲームをしている時、パソコン画面に見覚えのあるハンドルネームを発見した。部下の32歳男性のもの。彼は「うつ病」の診断書を提出し、長期休暇中だった。
 「こいつもリアルうつ(従来型うつ)じゃないな」
 とピンときた。他にも、うつ的な症状で休んでいる間に旅行に行ったり、同期との飲み会には参加する社員が数人いた。
 この部下の場合、最初は数週間の無断欠勤だった。一度は出社したが、再び「気分が落ちて会社に行けない」と診断書を提出し休んでいた。ハンドルネーム発見後に調べたら、休んでいる間にサーフィンの大会に出て優勝していたこともわかった。
 部下の自宅近くの喫茶店で待ち合わせた。
 「ゲームやってただろう? サーフィンで優勝したんだって?」
 とやんわり尋ねたら、
 「まあ、それはそれで」
 と笑顔でかわす。
 「本当に調子悪いの?」
 部長男性の質問には答えず、待遇面や他の管理職への怒りをぶちまけてきた。特に、社歴は長いが能力が劣る同僚より、自分の年俸が下回ることが不満だとまくしたてた。

◎自分の主張ばかりする
 実際、彼は仕事はできた。ただ、勤務態度が周囲の理解を得られなかった。2週間休んだ後にふらりと現れ、翌日の午後まで会社にいて休んでいる間にたまった仕事を片付ける。夜更かし癖があり出勤はほとんど夕方。髪はボサボサ、椅子の上にあぐらをかいてパソコンに向かう。挨拶もしない。外部からきた50代の役員からはにらまれていた・・・

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なんちゃって鬱 オフィスで増殖する新症例
216円(税込)
  • 著者AERA編集部・大重史朗/ライター・島沢優子
  • 出版社朝日新聞出版
  • 出版媒体AERA

職場でも家庭でも「新型うつ」を訴える男女が増えている。「些細なことで挫折」し、「悪いのは他人」と主張するタイプに多く、「うつ状態」「適応障害」といった診断書を提出すると長期休職に入る。休養中に共通するのは、仕事や家事は無理でも趣味など楽しいことはできる。そのため、周囲の理解を得られずに孤立する患者がいる一方、「空席人件費」に悩む企業や学校も多い。「新型うつ」は病気なのか。中年男性に多い「従来型」、若い女性に多い「非定型」との違いを示し、「新型」を生む社会背景を探る。[掲載]AERA(2012年6月25日号、8800字)

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