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医療・健康
朝日新聞出版

おひとりさま、脳卒中がトドメ刺す 孤独死を逃れるための絶対条件

初出:2013年4月22日号
WEB新書発売:2013年4月26日
AERA

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 発症は年間30万人、日本人の死因第4位。ほんの一瞬で人生を暗転させる脳卒中が、「気楽な独り身」を襲ったら……。発症して体が動かせないアナタに気が付くのは、アナタに代わって緊急手術に同意するのは、後遺症が残ったアナタを支えるのは、だれ? 結局、おひとりさまも人とのつながりは欠かせない。まだ間に合う、惨めな最期を迎えないための23カ条。

◇おひとりさま脳卒中
◇一人のとき発症したら
◇119番ためらわない
◇治療面でも不利な点が
◇検査機関選びは慎重に
◇妻を亡くした男は弱い
◇同窓会で思わぬ縁が


おひとりさま脳卒中


 東京都内の広告会社に勤める森恭子さん(仮名・43)は未婚で、マンションに一人暮らし。結婚願望が強かったが、長年付き合った彼と2年前に別れてからはその気もなくなり、仕事中心の生活になった。
 以前仲の良かった友人は次々に結婚。子ども中心の話題についていけなくなり、疎遠になった。週に1回通うジムでできた友人は何人かいるが、帰りに食事に行くぐらい。面倒なので深い付き合いはしていない。帰宅すると、食事や入浴、洗濯など最低限の家事、寂しさを紛らわすために飼ったネコの世話をして毎日が過ぎていく。
 淡々と流れていたおひとりさまの日常に異変が起きたのは、昨年10月のことだ。会議中に突然、右半身に力が入らなくなり、前のめりに倒れた。手足が思うように動かず、言葉を発することもできない。同僚がすぐに119番通報し、近くの総合病院に搬送された。
 診断は脳梗塞。倒れてから1時間半後には血栓(血の塊)を溶かして血流を再開させるt―PAという薬剤の点滴治療が始まり、上司から連絡を受けた母親も、仙台の実家から駆けつけてくれた。3週間後には退院し、障害が残ることもなく以前と変わらない生活に戻れている。
 けれど森さんの心はなかなか晴れない。
 「自宅で一人の時に倒れていたら、孤独死していたかもしれない。ネコも死んでいたでしょう。もともと人づきあいが苦手だし、結婚している同僚から家族の愚痴を聞かされるたびに『独身は気楽でいい』と思っていたけれど、怖くなってしまって」
 震災直後は連絡がつかなかった一人暮らしの母を心配した。でも今では、「隣近所や親戚と付き合いのある母よりも、自分のほうが危ないじゃないか」と痛感している。


一人のとき発症したら


 脳卒中は脳動脈の障害の総称で、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」、脳を保護するくも膜と脳の間に出血する「くも膜下出血」の三つがある。あわせて年間30万人が新たに発症し、がん、心疾患、肺炎に続く日本人の死亡原因の第4位、高齢者が寝たきりになる原因疾患のトップだ。三つの中で1960年ごろまでは脳出血が多かったが、大きな原因とされる血圧の管理が行き届くようになってからは減少し、現在は脳梗塞が7割以上を占める。
 脳卒中は発症から時間がたつにつれ、命を救える可能性が下がることはよく知られている。また障害を受ける脳の範囲も広がるため、麻痺や失語症などの後遺症を少なくするためにも、できるだけ早く病院に搬送し、治療を始める必要がある。
 ところが森さんが心配するように・・・

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