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政治・国際
朝日新聞出版

「イスラム国」とニッポン国 ならず者の標的となる極東の民

初出:2015年2月16日号
WEB新書発売:2015年2月19日
AERA

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 安倍首相がどんなに強い言葉を口にしようとも、「イスラム国」による日本人人質事件では、日本政府は為す術なく、2人の惨殺を見せつけられるという事実が残った。現実には何が起きていたのか、そして日本外交が何を為したのか、その検証作業は始まったばかりだ。ただ一つ、認識しなければならないのは、あのような残虐かつ残酷な行為を平然とやり遂げる集団に、日本と日本国民は「どこにいてもテロの対象」と宣言されたことだろう。報復の応酬に突入した戦いの渦からは、もはや逃れられないのだ。

◇「目には目を」が連鎖する、報復を求めるイスラム国の狂気と行動原理

◇日本人誰もが敵とみなされる、安倍外交が中東紛争に巻き込まれるリスク


「目には目を」が連鎖する、報復を求めるイスラム国の狂気と行動原理

 「目には目を、歯には歯を」
 世界に衝撃を与えたヨルダン人パイロット、カサースベ中尉を焼き殺すビデオを見ながら思い浮かんだのは、子どもの頃から慣れ親しんだことわざだ。
 ビデオは全編で22分間ある。日本や欧米のサイトではあらかた削除されているが、ビデオが公表された日本時間の2月4日未明、中東のサイトからフルバージョンをなんとか落とし、嫌な気分をこらえながら3回、最後まで通しで見た。
 残酷なビデオ。それは間違いない。だがそのシーンは最後の数分間に過ぎない。全編を見て初めて分かるのは、過激派組織「イスラム国」がアピールしたいことは「残虐な殺戮」ではなく、空爆に対する「正当な報復」であると確信した。
 中尉は、イスラム国壊滅を目指した昨年8月以来の米主導の空爆に参加したパイロットで、12月に撃ち落とされて捕虜となった。CGを駆使したビデオで空爆の様子と焼け焦げた子どもらをフラッシュバックで繰り返し映し出す。中尉は空爆が過ちだったと「告白」。ほかのヨルダン人パイロットたちの名前と住所を明かし、地図つきでテロが予言される。空爆で破壊された廃虚に立つ中尉は覆面兵士たちに取り囲まれ、鉄のオリの中でガソリンに火がつけられる。
 処刑方法は「目には目を」で知られる、被害者と同程度の刑罰を加害者に科す中東の刑法を連想させる。火をつけて殺害する方法はアラーを信じない者が最後に地獄の火に焼かれるイスラムの教えをイメージさせる・・・

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