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教育・子育て
朝日新聞出版

妻の要求は細身白パン イクメンの次はイケダン迫られて

初出:2015年6月8日号
WEB新書発売:2015年6月11日
AERA

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 仕事も家事も自分磨きも、と頑張る「スーパー親」。最近は、父親のイクメン度までが評価軸になっているらしい。「イクメンの旦那さん」では不十分。次はよりハードルの高い「イケダン(イケてるダンナ)」を目指さなくてはいけないのだ。「細めの白いパンツをはいて!」「はだしで革靴!」。36歳男性は妻からそう迫られ2年が経った――。もう「スーパー親」の呪縛から自由になりませんか。

◇「スーパー親」幻想 全方位に広がる「親評価軸」
◇イケダンには細身の白パン やればやるほど100点が逃げていく
◇五大断捨離で楽になる 「ステキ子育て」が無駄な親業を増やす


「スーパー親」幻想 全方位に広がる「親評価軸」

 疲れた顔のサラリーマンがひしめく夕暮れの電車内。研究機関に勤める女性(42)は通勤バッグからスマートフォンを取り出した。小さな画面に映し出された生協のサイトを見つめ、食材を注文する。先週はうっかり、冷蔵庫に納豆が10パックもたまってしまった。かといって買い控えると、週半ばに野菜も魚もなくなり、長女(2)にちゃんとした夕食を作れない。2週間後の献立のために計画的に食材を揃えなければ。いまだに慣れない注文作業に追われながら、世間の母親はこれを難なくやってのけているのだろうかと、焦りにも似た気持ちがよぎる。
 通勤バッグの中には、図書館で借りた本。また一行も読まないまま貸し出し期限がきてしまうのだろう。通勤時間のひとときを自分のために使うことさえできない。雑誌やネットには効率化や時間活用のノウハウがあふれている。それを実践できる人だけが、親の役割も自己実現も果たせるのだろうか。
 育児休業後は、時短勤務で職場復帰。会社では「戦力外」だが、働いている限り、育児や家事に全力投球はできない。専業主婦の母親(70)は午後5時前から夕食の支度を始め、7時にはおかず5品、ご飯、汁物を食卓に並べた。自分も料理は得意だが、7時に帰宅し、7時半におかず3品がやっと。できあいの総菜や冷凍食品は使いたくない。

◎子どもの服は手縫い
 「キャリアをきちんと積んで、料理上手で、趣味も楽しめるママが理想。だけど現実は『これ以上は無理』と何とかギリギリの線で自分を納得させることばかり」
 実家に帰省して専業主婦の義妹(38)と会うたび、ささやかな闘争心に火がつく。手芸が得意な義妹は子どもたちの洋服を手縫い。お絵描きをすれば、妖怪ウォッチやポケモンを精巧に模写し、子どもたちの歓声を浴びる。自分のように、アンパンマンを量産するだけではダメなのか……。その義妹の指先は桜貝のように上品に彩られている。自宅でネイルサロンを開いているのだという。主婦としての総合点では負けでも、料理だけは負けたくない。
 「受験でも入社試験でも、人と比較することで自分の立ち位置を確認してきた。高すぎるハードルは跳ぶ気がしないけど、自分よりちょっとだけ上や下の人とは比べずにいられない。余計にモヤモヤするけれど……・・・

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