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科学・環境
朝日新聞出版

人工知能に奪われる仕事50 あなたは大丈夫?

初出:2015年6月15日号
WEB新書発売:2015年6月18日
AERA

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 居酒屋やカラオケボックスではタッチパネルの注文が一般的になっている。いずれビジネスホテルも人工知能(AI)搭載の無人受付になるかもしれない。自動運転車・アポをとる「秘書」役・金融やスポーツの記事を作成するAIも開発されている。10年〜20年後になくなる仕事は何なのか。残る仕事は? それぞれ50職種を紹介。あなたの仕事は大丈夫ですか。

◇AIでなくなる仕事/人間は淘汰されるのか、「共存共栄」は可能なのか
◇自動運転の車が自在に走る日/研究からビジネスへ動きだした日本企業の今
◇AIは「世界」がわかってない/それでもじわじわ侵食される人間の知性
◇秘書も記者も売り上げUPも/グーグル、アップルだけじゃない米国の最先端


AIでなくなる仕事/人間は淘汰されるのか、「共存共栄」は可能なのか

 「テクノロジー失業」時代が到来――。
 マサチューセッツ工科大学の研究チームは、『機械との競争』にそう書いた。
 人工知能の進化で労働環境は今後、大きく変化する、と。近い将来、私たちの仕事に何が起きるのか。
 この分野で先頭を走る3人に聞いた。

「中間層」の仕事が一つずつ奪われる

国立情報学研究所教授・新井紀子さん(52歳)

 古代ギリシャの哲学者、アリストテレスは、人工知能(AI)の進化によってやってくる未来を予言していたのか。いわく、
 「人間の手が導かなくとも杼が布地を織り上げ、ばちが竪琴をかき鳴らすなら、親方はもう職人がいらなくなるだろう」
 いま、AIの活動領域が飛躍的に広がりつつある。
 証券市場では、アルゴリズムを用いた自動取引が過半を占めるようになったし、米のコールセンターではオペレーター助手として「最適な回答」を伝えている。人間の知的活動が代替・強化され、生産性は高まるに違いない。
 「素晴らしい新世界が始まった」と礼賛する人がいる一方で、「AIに仕事を奪われる」という懸念を隠さない人もいる。
 「ホワイトカラーの5割が、AIに仕事を奪われる」
 こう危機感をあらわにするのは、国立情報学研究所教授の新井紀子さんだ。2011年から、AI「東ロボくん」の研究開発を続ける。その目的は、東京大学の入試というフィールドで、「AIのどこが優れていて、逆に人間にはどんな強みがあるのか」を検証することにある。今春の入試では東ロボくんの偏差値は47・5。東大合格には足りないが、すでに私大の8割に合格する力を持つ。
 新井さんは言う。
 「AIは、背景に物理法則が存在する分野でそれらを平均化、最適化する能力にたけている」
 「物理法則が存在する分野」とは、気候、画像、音声(音の波形)などだ。これらの背景では必ず物理法則が働いていて、AIはその法則をもとに全体像や短期的な予測をする。
 人間の行動を動機づけする心理的な動きにも同じことがいえる。「状況Aに対し、行動Bに出る」ことは、経験知として蓄積されているから、消費行動の予測にも強い。
 一方で、何十年、何百年に1回の「巨大地震」「大恐慌」を予測するのは難しい。なぜなら、十分なデータがないからだ・・・

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