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朝日新聞出版

古市憲寿という現象 非バトル系と意識高い系が交錯するU35の世代論

初出:2015年8月31日号
WEB新書発売:2015年9月3日
AERA

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 2010年、東京大学大学院在学中に発刊した共著『希望難民ご一行様』(光文社)がヒットし、新進気鋭の社会学者として注目を浴びた古市憲寿さん。定期的に自著を発表しながら、「若者代表」として、ニュース番組のコメンテーターや内閣の各種委員までこなす。爽やかな外見とは裏腹に、時に辛辣なコメントも飛び出す古市さんの言動には、ひょうひょうとしてつかまえどころのないアンダー35世代の行動を読み解くヒントがつまっているのではないだろうか。競争から降りる「非バトル系」と、その反対に、崇高な目的のための自己犠牲をよしとする「真性意識高い系」の行動様式を観察しながら、次世代の価値観を探ってみよう。

◇非バトル系と真性意識高い系
◇若い社畜は賢者か下流か/マイルドヤンキー化するホワイトカラー
◇古市力は無為の効用/『若者代表』古市憲寿を理解できますか?』


非バトル系と真性意識高い系

 がんばって悩むくらいなら、そこから離れたらいい。
 種延真之さん(27)は、スーツを着て疲弊した様子の若者を見ると、そう思う。都内にある、IT系人材が集まるシェアハウス「ギークハウス」に住み、ウェブページの受託制作や単発のアルバイトで生活する。収入は月十数万円。そこから家賃と光熱費の5万円と、約1万5千円のシェアオフィス代を支払う。移動は自転車だ。
 いわゆる「非バトル系」と呼ばれる生き方だ。複数の収入源をもち、競争せずに暮らすことを提案した伊藤洋志さんの著書『ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方』(東京書籍)で「非バトルタイプ」として紹介された。変化の激しい時代、自己啓発や成長の努力が必要とされる一方で、そんなことに意味はないと思う種延さんのような若者もいる。



◎社畜は最底辺
 ただ、種延さんにも社会のレールに乗ろうともがいた時期があった。「反抗期をこじらせて」、高校を中退。それでも高卒認定試験を受け、地元の私立大学に進学、地元の食品メーカーに就職した。
 「なんとか人生のレールを守ることができたと思った」
 だが入社直後に風邪で休み、職場の心証を悪くした。発注ミスから先輩に目を付けられ、動揺が失敗を呼び、人間関係も悪化。誰とも話さなくなり、1年で精神が限界に達した。
 工場に異動し、出荷作業を担当することに。「人生終わった」と思ったが、あるブログが目にとまった。
 「人生あきらめたら楽になる・・・

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