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朝日新聞出版

マイナンバー、いいことあるの? 使われ方に目を光らせろ

初出:2015年9月21日号
WEB新書発売:2015年10月1日
AERA

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 「クロヨン(9・6・4)」。最近は耳にする機会が減ったが、「サラリーマンは所得の9割が捕捉されるのに、自営業者や農業者は6割・4割しか把握されない」という意味だ。マイナンバーと預貯金口座がひも付けされ、お金の流れがガラス張りになれば、不公平感は薄れるのか。マイナンバーに似た「社会保障番号」が導入されている米国。他人に番号を知られた人が勝手にクレジットカードを作られて多額の借金を抱えるという事件が続発している。マイナンバーの個人情報は分散管理されるというが――。マイナンバーを巡る不安について専門家らがアドバイス。

◇[税逃れ] 預金監視は嫌だが防犯カメラと思え
◇[経済格差] 消費税の逆進性を弱める切り札に?
◇[個人情報] 集約せず分散管理、民間利用に不安も
◇[カード申請] 写真付き身分証に、番号管理は要注意


[税逃れ] 預金監視は嫌だが防犯カメラと思え

 古今東西、税を逃れようとする人たちと当局との攻防は連綿と続いてきた。まずは二つのケースを見てみよう。

〈ケース(1)〉
 東京都内の中堅企業のオーナー会長が死亡。相続税の調査に入った国税調査官が大手銀行の都内支店にある会長名義の預金口座を調べたところ、生前に数百万円単位の現金出金が何度かあった。「怪しい」とにらんで会長の出張日程を確かめると、出金のタイミングとほぼ一致。出張先の支社がある東北地方の都市に足を運び、支社の取引先の信用金庫などいくつかの金融機関を回ったところ、会長名義の口座を見つけた。入金日は会長の出張日程と重なり、残高は計8千万円ほど。申告漏れが裏付けられた。

〈ケース(2)〉
 老夫婦が2人だけで金属加工を手がける町工場。おみやげ用の置物をつくる単発の注文が入り、70万円ほどの代金は現金で支払われた。町工場のおじいさんは代金を個人の預金口座に入れ、会社の確定申告では所得として申告しなかった。その後、置物を注文したみやげ物業者に税務調査が偶然入り、町工場が出した領収書の内容も国税庁のデータベースに収録された。翌年、町工場にもたまたま税務調査が入った時、この領収書のデータも確定申告の内容と突き合わされて申告漏れが発覚。銀行口座への入金記録も決定的な証拠となった。

◎口座ひも付け義務化も
 別々の元国税調査官の実体験をベースにした架空の事例だ。2人の国税OBとは税理士の武田秀和さんと、『マイナンバーで損する人、得する人』(ビジネス社)などの著書があるフリーライターの大村大次郎さん。「税務当局が把握しにくい遠隔地の口座にお金を隠す」「足がつきにくい現金収入を申告しない」という手法は、税逃れの典型的な手口だ。国内のすべての個人と法人に振られるマイナンバーがこの先、すべての預貯金口座にひも付けられるなどしてお金の流れがガラス張りになれば、このような税逃れは格段に見つけやすくなる――。2人はこう口をそろえる・・・

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