経済・雇用
朝日新聞出版

お金が「自由」になる日 フィンテックとは何か

初出:AERA2016年10月10日号
WEB新書発売:2016年10月20日
AERA

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フィンテック(ITを活用した新しい金融サービス)が世界を変えようとしている。情報技術の発展が、岩のように強固だった金融の世界に、破壊的自由をもたらしているのだ。「ビットコイン」「ブロックチェーン」「ビットネーション」「MUFGコイン」。社会を支えるインフラであるマネーの変化を読み解く入門的レポート。

◇お金が「自由」になる日
◇「完璧」な監査の可能性
◇アマゾンが融資に活用
◇生みの親は日本人?
◇貧困層にも金融の恩恵
◇今の値動きは投機的
◇メガバンクも開発参入


お金が「自由」になる日

 偉い人が印刷されているだけの紙が、国が保証することで「お金」になる。その常識が、覆る日が近いのだろうか。
 
 小さな部屋に、3人の人物が座っている。AはBに1万円を渡し、Cはそれを見届けてから紙片にこう書き留めた。
 「AはBに1万円を渡した。Cはこれを見届ける」
 3人にとっては疑いようのない事実だが、部屋にいなかった人々にとっては違う。彼らは現場を見ていないし、Cがウソをついたかもしれないからだ。
 驚くようなことだが、ビジネスの世界ではこれまで、AとB間の現金受け渡し過程を「うそ偽りなく行われた」と、完全立証する方法はなかった。その証拠に、企業活動で不正は何度も起きている。東芝の不正会計に始まり、三菱自動車の燃費データ改竄など挙げればキリがない。企業統治の重要性が叫ばれ、厳しい内部監査体制が敷かれても、不正は網をすり抜ける。なぜか。
 

「完璧」な監査の可能性

 監査は、人間の限界を超えられないからだ。「敵」は必死になって隠蔽を試みるし、監査する側が情に流されることもある。複雑化したデータの齟齬を見つけるのも、至難の業だ。
 だが、プログラムなら別だ。彼らは疲れることを知らないし、情に流されることもない。いま「完璧」な監査人になれる可能性を秘めたテクノロジーが、ある領域から誕生した。
 昨年以降、バズワードになっている「フィンテック」(=ファイナンスとテクノロジーを合わせた造語)がその揺りかごだ。金融は伝統的で保守的な「レガシー領域」だったが、いまここで、情報工学の力が破壊的自由を生み出そうとしている。2016年の投資額は、日本円に換算すると世界で2兆4千億円と、過去最高を更新する見通しだ。
 このことが金融を、銀行などの既存プレーヤーだけのものから解放しようとしている・・・

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お金が「自由」になる日 フィンテックとは何か
216円(税込)

フィンテック(ITを活用した新しい金融サービス)が世界を変えようとしている。情報技術の発展が、岩のように強固だった金融の世界に、破壊的自由をもたらしているのだ。「ビットコイン」「ブロックチェーン」「ビットネーション」「MUFGコイン」。社会を支えるインフラであるマネーの変化を読み解く入門的レポート。(2016年10月10日号、4600字)

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