政治・国際
朝日新聞出版

中国軍は日米を試しに来る 自衛隊、最新の実力は?

初出:AERA2016年12月12日号
WEB新書発売:2016年12月22日
AERA

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 「仮に米国が日本の期待通りに動かなければ、中国は尖閣を奪いに来る」(元海将)。今後の日中関係のポイントは在日米軍、と見る専門家は多い。近年は米国で大統領が代わると米中の軍事的な衝突が起きる。中国が南シナ海に進出したのは、ベトナムやフィリピンからの米ソの軍事的な撤退・縮小で「力の空白」が起きた時期だ。日本の自衛隊はどうか。憲法や日米安保、東西冷戦の下で防衛に徹してきた「異形の軍隊」。期待される役割は、もはや戦略原潜の警戒などではないのだが、装備や隊員の意識は急には変わらない…

◇第1章 中国は日本を試しにくる/自衛隊を知るキーワードは中国、トランプ、北朝鮮、自主防衛
◇第2章 自衛隊「コストと実力」/中国、トランプ、北朝鮮に、震える、奮える…
◇第3章 4千人働く基地の街 朝霞駐屯地に行ってみました


第1章 中国は日本を試しにくる/自衛隊を知るキーワードは中国、トランプ、北朝鮮、自主防衛

 軍事力増強を進める中国、「在日米軍撤退」「日本核武装」発言のトランプ次期大統領。
 防衛省・自衛隊がピリピリしている理由を追った。
 
◎核と第1列島線
 尖閣諸島周辺での緊張が年々、高まっている。
 最悪のシナリオは現実化してしまうのか。
    ◇
 《2017年3月×日――。
 沖縄本島の西約410キロに位置する尖閣諸島。300隻を超える中国漁船が魚釣島を目指して、押し寄せた。海上保安庁の巡視船が上陸を阻止しようと動くが、接続水域に集まっていた中国海警局の公船が邪魔して、接近を許さない。その隙をつき、中国漁民数人が島に上陸。中国国旗が立てられた。島に横付けした巡視船から海上保安官が不法上陸者の検挙に向かったが漁民に扮した中国民兵が発砲。防衛大臣は海上警備行動を発令し、海上自衛隊の護衛艦が海保の救援に向かった。その行く手に中国海軍の艦艇も集まり、にらみ合いが続いた。その後も中国漁民が続々と上陸し、住居などを設営するための資材を運び込み始める――。》
 日中衝突でささやかれる最悪のシナリオ。その伏線となる神経戦はすでに始まっている。海上保安庁の巡視船と、中国海警局の公船が洋上で互いを牽制する。元外務官僚で外交政策研究所代表の宮家邦彦さんは言う。
 「過去の例にならえば、中国は必ず、アメリカ新大統領をテストしにくるはずです」
 ブッシュ大統領就任後の01年4月、南シナ海上空で米軍の偵察機に中国機が衝突する事件が発生。オバマ大統領就任後の09年3月には、同じく南シナ海で米国の調査船を中国海軍が妨害する事件が起こった。
 「在日米軍の駐留経費負担問題」「日本核武装」発言などで、日本を揺さぶったトランプ氏。最終的な政権の幹部人事も途上とあって、日米同盟の見直し、対中国戦略の具体像ははっきりしない。来年1月20日に就任するトランプ大統領の誕生後に、再び中国が米軍の出方を探りにくる可能性はある・・・

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中国軍は日米を試しに来る 自衛隊、最新の実力は?
216円(税込)
  • 著者朝日新聞専門記者〈防衛問題担当〉・谷田邦一、藤田直央 編集部・野村昌二、澤田晃宏
  • 出版社朝日新聞出版
  • 出版媒体AERA

「仮に米国が日本の期待通りに動かなければ、中国は尖閣を奪いに来る」(元海将)。今後の日中関係のポイントは在日米軍、と見る専門家は多い。近年は米国で大統領が代わると米中の軍事的な衝突が起きる。中国が南シナ海に進出したのは、ベトナムやフィリピンからの米ソの軍事的な撤退・縮小で「力の空白」が起きた時期だ。日本の自衛隊はどうか。憲法や日米安保、東西冷戦の下で防衛に徹してきた「異形の軍隊」。期待される役割は、もはや戦略原潜の警戒などではないのだが、装備や隊員の意識は急には変わらない…(2016年12月12日号、10900字)

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