政治・国際
朝日新聞出版

右傾化する女たち 自分よりも国家を大事に、と説く理由

初出:AERA2017年5月1―8日号
WEB新書発売:2017年5月11日
AERA

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「女性は専業主婦として家庭で輝くべきです。保育園なんか少子化に拍車をかけるだけだから増やしちゃダメ」「多少のDVは我慢すべき。左翼の弁護士なんかに相談するとすぐにシェルターに連れていかれて離婚させられてしまうから絶対にダメだ」――。こんな言葉が飛び交う社会運動の現場で、女性の姿が目立つようになってきた。両性の平等、婚姻の自由を定めた戦後憲法から、最も大きな恩恵をこうむってきたはずなのに、なぜだろうか? 深く、静かに進行してきたこの社会の右傾化は、人々のどんな思いから発しているのか。女性たちの活動や、識者の分析から探ってみる。

◇第1章 〈女性〉 国家と家庭、守るのは「専業主婦」
◇第2章 〈メディア〉 狙い撃ちされる「もの言う人びと」
◇第3章 伝統的右翼、ネトウヨを叱る/宮沢賢治も信じた国柱会は今


第1章 〈女性〉 国家と家庭、守るのは「専業主婦」

 森友学園問題に端を発して、「愛国」に引き寄せられる現在の「この国のかたち」が見えてきた。
 深く、静かに進行していたこの社会の右傾化は、人びとのどのような思いから発しているのか。


 「今は国家の危機です」
 都内の某コーヒーチェーン店に、白須夏さん(50)の甲高い声が響く。白須さんが店を貸し切って開いたのは、いわゆる『婚活パーティー』だ。
 集まったのは男女約20人。サンドイッチをつまみながら自己紹介をしていく。それが終わればいよいよメインイベントのライブの始まりだ。心地よいギターの音色に合わせて、白須さんが口ずさむ。
 「海ゆかば 水漬く屍
 山ゆかば 草生す屍」
 ギタリストが演奏したのは、軍歌「海ゆかば」だった。第2次世界大戦中、日本軍の玉砕を伝えるラジオ放送で流れていた歌だ。最近では、森友学園が経営する塚本幼稚園が園児に斉唱させていたことで話題になった。天皇のためにいつでも命を投げ出そう、決して後悔はしない、そんな兵士たちの思いが歌詞には書かれている。婚活イベントにはまったくふさわしくない選曲のように思うが、その心は?
 「自分を犠牲にしてでも国家が大事だと思うよう意識改革したいんです。結婚しない、子どもを産まない、そんなふうに個人の権利を主張しすぎて日本はダメになった。だから家族を大切にする古き良き時代に戻したい。女性は専業主婦として家庭で輝くべきです。保育園なんて少子化に拍車をかけるだけだから増やしちゃダメ」(白須さん)
 白須さんは、約4万人の会員を抱え、安倍政権を支える右翼組織・日本会議(※1)に所属している。目指すのは婚姻や両性の平等を定めた憲法24条(※2)の改正だ・・・

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右傾化する女たち 自分よりも国家を大事に、と説く理由
216円(税込)

「女性は専業主婦として家庭で輝くべきです。保育園なんか少子化に拍車をかけるだけだから増やしちゃダメ」「多少のDVは我慢すべき。左翼の弁護士なんかに相談するとすぐにシェルターに連れていかれて離婚させられてしまうから絶対にダメだ」――。こんな言葉が飛び交う社会運動の現場で、女性の姿が目立つようになってきた。両性の平等、婚姻の自由を定めた戦後憲法から、最も大きな恩恵をこうむってきたはずなのに、なぜだろうか? 深く、静かに進行してきたこの社会の右傾化は、人々のどんな思いから発しているのか。女性たちの活動や、識者の分析から探ってみる。(2017年5月1―8日号、13700字)

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