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医療・健康
朝日新聞出版

あと「10年」でがん克服へ めざましい治療法の進歩

初出:2018年2月12日号
WEB新書発売:2018年3月8日
AERA

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若くしてがんでこの世を去った弟の表情には、苦しみが深く刻み込まれていた――。がん治療をめぐって医療技術の進展がめざましい。遺伝性疾患で研究が進み、将来はがん治療にも応用できるとの期待がある。自らもがんを克服し、弟をがんで失った記者らが、その最前線に迫った。

◇第1章 あと「10年」でがん克服/不治の病でなくなるゲノム治療
◇第2章 医者ががんになったら/がん診療経験のある現役医師553人にアンケート
◇第3章 遠隔地でセカンドオピニオン/がん×オンライン医療相談の可能性


第1章 あと「10年」でがん克服/不治の病でなくなるゲノム治療

 安らかな表情とは、とても言えなかった。高校生の子ども2人と妻を残し、この世を去らなければいけない無念と、闘病生活の末の苦しみが深く刻み込まれていた。
 2017年11月末、1歳年下の弟が旅立った。最後の眠りについた際の表情が、今も脳裏から離れない。享年44。胃がんの発見から2年、壮絶な闘病生活を送る間、弟は常に「自分は死なない。絶対にがんに勝つ」と言い続けた。繰り返し宣告された余命は次第に短くなり、昨夏は越せないとの見方だったが、精神力で死ぬことに必死に抵抗しているように見えた。それでも延びた寿命は数カ月だった。
 自分自身で「生き続ける方法」を調べ、胃がん治療の研究で最先端と言われる病院へ転院したり、新しい抗がん剤を積極的に試したりした。肝臓が弱り、最後は腎臓が不全となった。これが直接の死因だった。手術、抗がん剤、放射線が3大治療となっている現在のがん医療の限界を痛感した。
 日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が死亡するとも言われるがん。だが、医学の進歩によって、早期発見、早期治療をすれば完治する可能性が高まったのは確かだ。実際に筆者も10年前に腎臓がんが見つかったが、摘出手術を受けた後、再発はない・・・

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