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政治・国際
朝日新聞出版

「カダフィよ、リビア人民を殺すな!」 独裁者に変貌した革命家

初出:2011年3月11日号
WEB新書発売:2011年3月11日
週刊朝日

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独裁41年「砂漠の狂犬」と呼ばれた男 私が見たカダフィ大佐の素顔


◆「カダフィよ、リビア人民を殺すな!」
 ―平田伊都子(ジャーナリスト)

◆執務室に明治天皇の写真
 ―小池百合子(自民党総務会長)

◆反米はあこがれの裏返し
 ―川村晃司(テレビ朝日コメンテーター)

◆父・弘治のハラキリ直談判
 ―柿沢未途(衆院議員)

 「ジャスミン革命」が飛び火したリビアで、41年間独裁体制を続けるカダフィ大佐が傭兵を雇って、民主化に立ち上がった市民を弾圧している。90年に『カダフィ正伝』(集英社)を著したジャーナリストの平田伊都子さんが寄稿で呼びかける。「カダフィよ、リビア人民を殺すな!」と。




 1988年に初めてカダフィ大佐をインタビューした。場所はリビアの首都トリポリのアジジア兵舎内にある常設テント。〈1969年に革命を起こした素敵な青年将校さん〉というカダフィ像に取りつかれていた筆者は、着物の襟をただして待っていた。
 緊張感が張り詰めたテントに、世界のスーパースターはイタリア製の木製サンダルをカラコロいわせながら「ヨッ!」てな気分で入ってきたのである。そして1時間ほど、土産の扇子をバタバタあおぎながら、カダフィは筆者のへたなアラビア語をからかい、爆笑のうちに初対面は終わった。
 狂犬とか暴君などといった面影はまったくなく、無邪気に笑う革命家に惹かれた筆者は、彼の伝記を書こうと決心する。ただ短気そうだし、嘘やでっち上げを書くとひどく怒りそうなので、カダフィ本人からの情報を元に周辺取材をしようと、リビアに足しげく通った。
『カダフィ正伝』を出版した後も、度々カダフィに会い、その時々の彼の世界観や考えを学ばせてもらった。少なくとも1990年代のカダフィは、超大国アメリカの横暴を怒り、パレスチナ人民を支持し、貧しい第三世界の支援者的立場をとっていた。
 1999年9月9日、生まれ故郷シルトでのカダフィは、得意の絶頂にあった。約50人のアフリカ首脳陣を前に、「ワーヒダ・アフリキーヤ!(アフリカは一つ)」と拳を振り上げ連呼した。首都トリポリでの軍事行進では、「リビア軍はアフリカ人民のためにある!」と、檄を飛ばした。
 カダフィはアラブの盟主になろうとしてアラブ連盟からそっぽを向かれ、北アフリカ・マグレブの盟主になろうとして北アフリカ諸国から馬鹿にされ、やっと、資金援助の代償でブラック・アフリカ諸国の喝采にありつけたのだった。
 その頃、「フセインは馬鹿だ。豊かなイラクを潰し、イラク人民の命を犠牲にすることになる・・・

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