いまフクイチは『小康状態』に見える。政府は昨年末、原発の「冷温停止状態」を宣言し、「事故の収束」を強調した。しかし、本誌は知っている。彼らが、さまざまな情報を封印してきたことを。それは、これまで本誌が報じてきたフクイチ最高幹部の一人の証言からも、明らかだった……。
米原子力技術者のアーニー・ガンダーセン氏と広瀬隆氏の緊急対談を巻末に収載。
◇大震災から1年 厳しい現実と希望
◇A4判5〜6枚の詳細なカラー資料
◇炉心溶融前提で飛散状況を予測
◇〈対談〉広瀬隆×アーニー・ガンダーセン
あの日から、もうすぐ1年になる。
大地を揺るがす巨大地震、想像を絶する大津波、そして、人知の限界をまざまざと見せつけた原発事故――次々と襲いかかる最悪の事態に、人々はかけがえのない多くのものを失った。そして、その傷痕を抱えながら、いま再び立ち上がろうとしている。
もう過去のことは思い出したくもないかもしれない。しかし、あのとき何が起きて、何をしたのか、それを検証し続けることは、この苦難を未来の教訓とするために必要なことである。
米原子力規制委員会(NRC)は2月21日、震災直後(昨年3月11日)から10日間の、フクイチ(福島第一原発)事故の対応を巡る会議や電話でのやりとりを記録した3千ページを超える内部文書を公開した。
その詳細な記録は、この歴史的重大危機の際に米国がどう動いたかを伝える貴重な資料だ。
一方、日本では、原子力災害対策本部をはじめ震災関連の10の対策会議で議事録が作成されていなかった。議事概要すらない会議もあったというのだから、唖然とする。お決まりの「無責任体質」である。
これが問題になって初めて、経済産業省の原子力安全・保安院が、慌てて会議出席者のメモなどに基づく議事概要の復元作業に取りかかっている状況だ。
いったい何なんだろうか。東京電力に公的資金が注入され、実質的に『国有化』されれば、国は最終的にさまざまな賠償責任を負うことになりかねない。税負担をする国民からすれば、政府や省庁、そして東電での議論は、オープンな形で記録に残されていて然るべきである。記録がなければ、何の検証もできず、信用することはできない。
先の公開された内部文書によると、NRCは事故直後から、日本政府や東電、そしてメディアなどさまざまなルートを使って情報を集めたが、決して十分なものではなかった。それでも、そのなかでメルトダウン(炉心溶融)の可能性や、在日米国人の避難範囲などを次々と判断していった。
当時、米政府は「4号機の使用済み燃料プールの水が干上がっている」という情報を前提に、震災6日目の昨年3月16日、在日米国人に対し、半径50マイル(約80キロ)の退避勧告を出した。結果的に、燃料プールに大きな損傷はなかったことが東電によって確認されたが、その判断の妥当性も記録が残っているからこそ検証できるというものだろう。
NRCの方針は明確だった。まず情報収集に全力を挙げ、その上で起こりうる最悪の事態を予見し、自国民の安全確保を最優先することだった。メルトダウンの可能性を指摘したのは、実に震災2日目だ。
そのとき、日本ではどうだったのか・・・
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いまフクイチは『小康状態』に見える。政府は2011年末、原発の「冷温停止状態」を宣言し、「事故の収束」を強調した。しかし、本誌は知っている。彼らが、さまざまな情報を封印してきたことを。それは、これまで本誌が報じてきたフクイチ最高幹部の一人の証言からも、明らかだった……。米原子力技術者のアーニー・ガンダーセン氏と広瀬隆氏の緊急対談を巻末に収載。[掲載]週刊朝日(2012年3月16日号、8200字)
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