「危険を訴え続ければ、必ず変わる瞬間が来る」。原発不用を訴える山本太郎氏と広瀬隆氏のスペシャル対談。特集「終わらない復興」から「あなたの街のセシウムはいくらか!?」「避難所の『リーダー』はなぜ『うつ病』になったのか」も同時収録。
◇〈対談〉広瀬隆×山本太郎 必ず変わる瞬間がくる
◇政府発表では分からない…あなたの街のセシウムはいくらか!?
◇避難所の「リーダー」はなぜ「うつ病」になったのか
対談をお願いしたのは、広瀬隆氏が「今もっとも会いたい人」と言う役者の山本太郎氏。「原発はいらない」と訴える頼もしい『後輩』に、広瀬氏も熱いエールを送り続けた。
広瀬 舞台稽古の期間中に時間を作っていただき、ありがとうございます。初めまして。といっても、初めて会う気がしないね。
山本 お会いできて、嬉しいです。3・11後、ネットで広瀬さんの講演の動画を見たり、本を読んだりして、何が起こっているのかを勉強していました。
広瀬 山本さんの『ひとり舞台 脱原発−闘う役者の真実』(集英社)の表紙は、中間貯蔵施設があるドイツのゴアレーベンで撮影したものですね。
山本 ええ、脱原発を宣言して、市民運動が進んでいるドイツを実際に見てみようと、昨年11月に行きました。みんなで踊ったり、炊き出しのおいしいものを食べたり、お祭りですね。今日のデートはデモに行こうか、という感じで若い人が集まってくるんです。
広瀬 日本でも、昨年4月の高円寺の反原発デモなどを見ると、お母さんたちが大勢参加して、自発的で、新鮮で嬉しかったです。
山本 そう思いますね。ドイツの後に、独裁体制が続いているベラルーシに行ったのですが、もう雰囲気がぜんぜん違う。デモの届け出すらできなくて、声を出してアピールすると、逮捕されてしまうそうです。これから日本がドイツになるか、ベラルーシに向かうのか。日本で頑張らなあかんな、と思った旅でした。
広瀬 山本さんはゴアレーベンで、線路に寝る放射性廃棄物輸送の抗議行動にも参加していましたね。昔から、僕もやりたくてね。だから、ここまで行ってやったのか、と嬉しかった。
山本 非暴力直接行動を取り締まる警察もリベラルでした。でも、ドイツの抗議行動を日本でやったら、とんでもなく話題になるでしょうね。いろんな市民運動に合流して、メディアに過激な行動のように報じられることもあるのですが、ドイツを基準にすると、ぜんぜん過激じゃないですよ。
広瀬 昨年7月、佐賀県庁で玄海原発の再稼働を止めるための行動にも参加していましたね。鹿児島の反原発学習会で、そのときの様子を撮った西山正啓監督のドキュメンタリー映画「脱原発 いのちの闘争」を見たのですが、山本さんは終始冷静で、感心した。僕は抗議行動で、荒っぽいことが大好きだから、見終えて、みんなに言ったんですよ。「俺も行きたかった!」と。
山本 その場にいらしてたら、もっと騒ぎが大きくなっていました(笑い)。
広瀬 昔は原発反対運動でも猛者がいて、僕が大好きな筋を通す人たちは、ほとんど逮捕経験があった。弁護士は「問題が大きくなるから、広瀬さんは逮捕されない」と言ってたけど、一度は逮捕されたかった。
山本 逮捕されて一人前、というわけですか?
広瀬 僕たちの世代には、そういう哲学がある。山本さんは、佐賀県庁の抗議行動のテレビを見た人から、威力業務妨害などで刑事告発を受けて、検事の聴取を受けていますよね。声明文を読み上げて、あとは黙秘を貫いて、嫌疑不十分で不起訴になったいきさつを本に書いているけれど、あれで罪になるのかい。検事たちには、私が刑事告発している東電社長らの取り調べを始めろ、と言いたい。これだけひどい放射能汚染の責任者の罪が問われないのはおかしい。ほんとにこの国は道理がないよね。
山本 だれがいちばん過激かっていう話ですよね。毒物をバラまいて、安全だって言っている人間のほうが、よっぽど過激です。
広瀬 僕がドイツに行ったのは1993年。医師が中心になって反対運動を起こして、89年に建設中のヴァッカースドルフ再処理工場をやめさせた。それが一番嬉しい出来事だったから、ずっと行きたかった。ゴアレーベンにも寄りました。
◎「次の事故の後で変わるのは最悪」
山本 当時のドイツはどんな様子だったんですか。
広瀬 86年にチェルノブイリの原発事故が起こり、ドイツでは今の東日本みたいに深刻な汚染が広がって、食べ物が心配なお母さんたちが立ち上がった。ただ、そのころのドイツ政府がやったことは放射能汚染のデータを公表しなかったり、事故を小さく見せようとしたり、今の日本政府と同じというか、もっとひどい・・・
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「危険を訴え続ければ、必ず変わる瞬間が来る」。原発不用を訴える山本太郎氏と広瀬隆氏のスペシャル対談。特集「終わらない復興」から「あなたの街のセシウムはいくらか!?」「避難所の『リーダー』はなぜ『うつ病』になったのか」も同時収録。[掲載]週刊朝日(2012年3月23日号、9300字)
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