東海・東南海・南海地震が3連動する「南海トラフ巨大地震」について、内閣府の検討会が3月31日、新たな想定をまとめた。高知県黒潮町に最大34・4メートルの津波が到達し、稼働停止中の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)付近では、建設中の18メートルの堤防を超える21メートルになるという。私たちの街で何が起こるのか。徹底検証した。
◇スカイツリーの足元まで
◇「遠く」より「高く」へ逃げろ
静岡県や和歌山県などに最短2分で津波が到達。なんとも衝撃的な予測に、日本中が騒然となった。そもそも南海トラフ巨大地震とはどのようなものなのか。検討会の委員で東北大学大学院の今村文彦教授(津波工学)はこう解説する。
「想定外の被害を生んだ東日本大震災の反省を踏まえて2003年の中央防災会議の想定を見直し、最大マグニチュード(M)を9・1に設定。千年周期で起きる3連動地震も視野に入れ、今後可能性のある最大クラスの地震を想定しました」
その結果、従来の想定と比較して震度7が予測される地域の面積は約20倍の10県153市町村になった。最大の津波の高さも太平洋沿岸で約2〜3倍に増加し、10メートル以上の津波が11都県90市町村に押し寄せると予測されている。
「今回の想定では、南海トラフの西側(九州沖)と伊豆半島の西にある駿河トラフなども想定震源域に加えたので、震度7の地域が広がりました。東日本大震災で大津波を引き起こした、通常の津波断層より約4倍多くすべる『超大すべり域』も新たに想定に入れたので、津波の高さも大幅に見直しました」(今村さん)
恐ろしいのは数十メートル級の津波だけではない。名古屋大学大学院の川崎浩司准教授(海岸工学)は、こう指摘する。
「東京は2・3メートル、名古屋と大阪は3・8メートルと他に比べて低く見えますが、人間は50センチの津波でも立っていられず、自動車なども流される。2メートルの津波が来ると木造家屋は全壊し、確実に死者が出ます(表)」
南海トラフ地震の被害想定は、従来でも死者約2万5千人、建物全壊約90万棟、経済的損失約81兆円だった。今回大幅に見直された津波被害をこれに加えると、想像を絶する規模の被害になるのは間違いない。
では、実際に南海トラフ巨大地震による大津波が発生したら、各地にどんな被害が出るのか。前出の川崎さんはこう断言する。
「東京、名古屋、大阪という、人口が密集し、経済的にも重要な地域が被害を受けるため、日本は壊滅的な打撃を受けるでしょう」
川崎さんは東日本大震災とほぼ同じM9・0の3連動地震を想定し、津波による各都市の浸水状況をシミュレーションした。今回の『最悪の想定』M9・1を下回る前提にもかかわらず、予測される被害は甚大だ。
まず東京。南海トラフから100キロ以上離れ、津波高も湾岸部の港区で2・3メートルとなっている。だが油断は禁物だ。川崎さんが言う。
「揺れや津波の衝撃に、今の防潮堤や水門が耐えられるかどうか疑問です。地盤沈下、液状化現象なども伴って堤防が決壊すれば、東部の『江東デルタ地帯』が水没する恐れがある」
『江東デルタ地帯』は・・・
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東海・東南海・南海地震が3連動する「南海トラフ巨大地震」について、内閣府の検討会が新たな想定をまとめた。高知県に最大34・4メートルの津波が到達し、浜岡原子力発電所付近では、18メートルの堤防を超える21メートルになるという。私たちの街で何が起こるのか。徹底検証した。[掲載]週刊朝日(2012年4月20日号、3600字)
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