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朝日新聞出版

一人っ子介護の時代 両親を介護する悲哀、乗り切る5つの知恵

初出:週刊朝日2014年2月14日号
WEB新書発売:2014年2月14日
週刊朝日

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 子である以上避けて通れないのが、老いて認知症など病気を患った親の介護だ。配偶者の親の介護が自分の親の介護と重なる場合もある。少子高齢化の時代、一人っ子は親の介護にどう向き合えばよいのか。兄弟姉妹も配偶者もいないシングル一人っ子、妻が一人っ子で夫が長男、夫も妻も一人っ子同士など、疲弊と悲哀に彩られた事例を紹介しつつ、専門家らが「まず地域包括支援センターに行く」「一人で抱え込まない」「公的サービスを徹底利用する」など、親の介護を前向きに乗り切る5つの知恵を示す。

◇きょうだいは、いないほうがよかった
◇手は出さないが口は出す弟夫婦
◇かかりつけ医や近所に助けられ
◇[コラム]一人っ子介護でも落胆せず、いいことを一つでも見つけてほしい


きょうだいは、いないほうがよかった

 まず、きょうだいも配偶者もいない「シングル一人っ子」の吉川幸子さん(仮名・63歳)のケース。
 「きょうだいがいてくれたら違っただろうな、と心底思います。母の介護で心身ともに疲れているときなどは、とくに。交代で介護できたのに、愚痴も吐けたのにと感じます」
 そう話す吉川さんは84歳で要介護5の母を介護している。20代のときに一度結婚したが数年で離婚、それ以来、母と二人で暮らしてきた。父親は吉川さんが20歳のときに亡くなっている。
 79歳までは元気だった母だが、骨折して入院してからいきなり介護が必要になった。退院してきてしばらくは要介護2で、デイケアにもすすんで通っていたので、そう負担は大きくなかった。
 しかし、徐々に認知症の症状が表れはじめ、目が離せなくなった。夜は、不安を訴えたり、トイレに行きたいと言っては吉川さんを起こす。ぐっすり寝ることもできずに慢性睡眠不足になった。
 「お風呂に、三度の食事、排泄、と一人分の暮らしを支えるのは本当に大変です。でも、私にも仕事がある。働かないと食べていけない。だけど、お母さんを介護できるのは私しかいない。そう思いながら介護をしていました。母が病気で入院すると、どこかほっとする自分がいました」
 心身ともに疲れた吉川さんは、母が要介護5になったのを機にグループホーム入居を決めた。
 「私の手でみてあげたい、という気持ちはもちろんあります。でも、正直、いろんな面で限界も感じるんです。こういう葛藤もきょうだいがいたら違ったのにと、考えたってしょうがないことを考えてしまいます」
 「シングル一人っ子」の吉川さん一人の肩に文字通り介護がのしかかるのだ。
 「きょうだいがいるより、一人っ子のほうがラク!」と言い切る一人っ子もいる。
 関西地方在住の畑中祐子さん(仮名・65歳)だ。畑中さん自身は一人っ子だが、長男のもとに嫁いだ。「一人っ子×長男」夫婦のケースだ。
 「きょうだいがいるほうが大変です。若いころからきょうだいがいたらなと思ってきましたが、介護をするようになってからは、いなくてよかったと心から思います」
 畑中さんは、現在、91歳になる実母を介護中。実父は、7年前に92歳で他界している。
 一方の夫の両親はというと、6年前、義母が95歳で亡くなり、約2カ月後に、あとを追うように義父が亡くなった。92歳だった。亡くなる前の半年間は、二人とも入院していたため、病院2カ所を行ったり来たり。実父を見送った悲しみに浸る間もなく、介護に明け暮れたという。
 「二人が同時に入院したときは、突然アレルギーが出たりするなど、体力の限界を感じました。夫には弟が一人いましたが、まったく手伝ってはくれませんでした。弟の嫁もです。私は一人っ子の立場で父親の面倒をみて、長男の嫁の立場で義父母の面倒をみたので、はっきり言えます。きょうだいは、いないほうがよかった・・・

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一人っ子介護の時代 両親を介護する悲哀、乗り切る5つの知恵
216円(税込)

子である以上避けて通れないのが、老いて認知症など病気を患った親の介護だ。配偶者の親の介護が自分の親の介護と重なる場合もある。少子高齢化の時代、一人っ子は親の介護にどう向き合えばよいのか。兄弟姉妹も配偶者もいないシングル一人っ子、妻が一人っ子で夫が長男、夫も妻も一人っ子同士など、疲弊と悲哀に彩られた事例を紹介しつつ、専門家らが「まず地域包括支援センターに行く」「一人で抱え込まない」「公的サービスを徹底利用する」など、親の介護を前向きに乗り切る5つの知恵を示す。[掲載]週刊朝日(2014年2月14日号、5800字)

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