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政治・国際
朝日新聞出版

安倍首相平成の富国強兵 武器輸出も解禁、平和国家が壊されていく

初出:2014年7月18日号
WEB新書発売:2014年7月17日
週刊朝日

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 安倍首相の頭は財界と米国にしか向いていないのか。原発の再稼働や輸出、秘密保護法や集団的自衛権の問題では、再考を望む多くの国民の声に聞く耳をもたない。そして解釈改憲論議のさなか、財界と二人三脚でタブーの武器輸出を解禁。首相自ら軍事ビジネスに乗り出した。経産省と防衛省の思惑もあった。日本はこのまま「富国強兵」に突き進むのか。徴兵制も導入されるのか。少子高齢化が進み格差が広がるなか、首相の改革、成長戦略の真の狙いはどこにあるのか――。一歩一歩、平和国家が壊されていく現実を追う。

◇学識者らの提言無視、経産省の影
◇少子化で徴兵制、国防軍で重罰も
◇米韓軍事演習で、拉致交渉暗礁に


学識者らの提言無視、経産省の影

 歴史的な一日となった7月1日、経済界は「(集団的自衛権の行使は)必要で、解釈でやるのは妥当」(経済同友会の長谷川閑史代表幹事)と、おおむね高評価をした。それもそのはず、「武器輸出三原則」の緩和などを求めた経団連の提言を2月に受け、安倍首相はこれまでタブーだった武器輸出を4月、解禁したのだ。
 そして防衛省は6月19日、「防衛生産・技術基盤戦略」を刷新。防衛関連企業への優遇税制や補助金の投入、海外進出の際の財政投融資など、至れり尽くせりの保護政策が明記された。
 6日からオセアニアを歴訪する首相自らがトップセールスを行い、オーストラリアが興味を示す最新鋭の潜水艦「そうりゅう型」などを売り込み、防衛装備品の共同開発に必要な日豪政府間協定の年内締結を目指すとされる。インドと輸出交渉が続く救難飛行艇「US2」など防衛装備品輸出は、安倍政権の成長戦略の柱となりつつあるのだ。


 こうした安倍政権のタカ派路線に警鐘を鳴らす経済ブレーンらもいたが、その諫言を官邸が無視する「一幕」もあった。
 経済学者や元国会議員ら18人で作る団体「平和と安全を考えるエコノミストの会」(EPS)が5月22日、「東アジアの安定と繁栄のために─日中韓の共存共栄をめざして」と題する提言を発表した。
 署名者の一人として名を連ねていたのは、安倍首相の経済ブレーンとして有名な米エール大名誉教授の浜田宏一・内閣官房参与。EPSのメンバーで、かつて理事長も務めた中心人物だ。
 今回の提言は、安倍政権と中国、韓国との関係悪化を懸念した内容で「尖閣諸島をめぐる問題の事実上、棚上げ」や、「村山談話、河野談話の踏襲」「首相や主要閣僚による靖国参拝を控える」などの意見が盛り込まれた。しかし、メンバーが首相官邸に提言の受け渡しを申し入れたところ、けんもほろろに断られたというのだ。


 「集団的自衛権の行使容認の危うさについても会で話題に上ったが、提言は経済に直結する外交政策に絞りました。安倍首相は多忙で、菅義偉官房長官に渡すことになりました。事前に内容を知りたいというので伝えると、『安倍内閣の政策とまったく違うので受け取れない』と、手のひらを返すように断られました」(EPSメンバーの一人)
 アベノミクスの理論的支柱であった浜田氏らの提言すら黙殺。それほどまでに、今の安倍首相は「前のめり」になっているのだ。
 「戦争をする国」への大展開がトントン拍子で進む背後に、安倍官邸を牛耳り・・・

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