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朝日新聞出版

原発偏重に怒りの告発! 安倍政権下で進む「自然エネつぶし」の実態

初出:2014年8月8日号
WEB新書発売:2014年8月7日
週刊朝日

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 太陽光や風力など自然エネルギーによる発電事業者が、事業から撤退せざるをえない事態に陥っている。せっかく電気をつくっても売電ができず、全国284の自治体が困惑していることもわかった。原因は電力会社の送電網への接続制限というが、なぜ送電線が増設できないのか。かたや経産省は固定価格買い取り制度を見直し、総量規制を検討するという。これらは自然エネ事業をつぶし、新たな参入を阻む露骨な妨害ではないか。世界の動きに逆行し、今なお原発利権にしがみつく安倍政権と原子力ムラの因循姑息を暴く。

◇発電しても接続制限で売れない
◇送電線の容量はブラックボックス
◇メガソーラーに景観めぐる規制
◇原発延命のため数値目標見送り


◎発電しても接続制限で売れない

 「民主党から自民党政権になると、ガラッと風向きが変わってしまった」
 山梨県北杜市を舞台に、10年ほど前から太陽光発電施設事業を展開する吉田愛一郎氏はそうこぼす。
 「北杜市は日照時間が日本一長いことから、市長の肝いりで太陽光を推進している市。私はここの休耕田を復興する目的で、多数のソーラー設備を農地などにつくってきました。ですが政権が代わった2012年から状況が変わり、いまでは設置がほぼ無理な状態。注文を断ったお客さんは100人を超えます。このままでは、事業から撤退するしかありません」
 一体、どういうことか。
 吉田氏によると、最大の障害は送電網だという。
 ソーラーパネルで発電した電力を売電するには、電力会社の電線につなぐ必要がある。系統連系と呼ばれ、地域を管轄する電力会社しかできないが、作業が滞って進まないのだという。
 「山梨は東電管内ですが、とにかく時間がかかる。発電容量50キロワット未満の低圧設備で1、2カ月、それ以上の高圧設備になると半年から2年待ちです。しかも、待たされる理由がはっきりしない。ある人は送電線のキャパシティーが足りないと言い、別の人は変電施設のリレー(継電器)が手に入らないからだと言う。情報が少なく、現場も困っているようです」(吉田氏)
 こうした、電力会社の送電設備が自然エネルギーに対応し切れていない事例は全国にたくさんある。
 朝日新聞と一橋大学が全国1741の市区町村を対象に7月、アンケート調査をしたところ、284の自治体から同じような指摘があったという。
 送電線の「容量オーバー」による接続制限は、全国に広がっている。各電力会社の発表によると、北海道では札幌以東の多くの地域が「連系制約が生じる可能性が高い」とされ、接続制限されている。九州電力でも、南部を中心に約半分の地域で接続が困難。東京電力管内でも、栃木県の北側の大部分や群馬県の北西部などが制限エリアとなっている。
 群馬県前橋市は赤城山の山間部に236キロワットの小水力発電所をつくる予定だったが、東電の接続制限により、計画がストップしているという。



 問題はこれだけではない。設備が十分でないと、せっかく発電しても電気が売れないという事態も生じてしまう。
 長野県にある太陽光発電の設置業者が言う。
 「工業団地の工場の屋根にソーラーを付けたケースがあります。平日は良くても、工場が稼働しない休日はエリア内で電力需要がないため売電できていません。かといって中部電力が電力を買い取ってくれるわけでもない。送電設備やネットワークを売電に即したように整備をすれば状況は変わるのに、中電は『金が掛かる』とか『国が送電網の強化策を打ち出していない』などと言って動かない。こんな状態が続けば、電力需要の多い大都市以外で太陽光発電に投資をする人はいなくなります・・・

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