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経済・雇用
朝日新聞出版

アベノミクス破綻の足音 消費増税と統計数字が示す「景気回復」のウソ

初出:2014年8月8日号
WEB新書発売:2014年8月14日
週刊朝日

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 2014年6月の輸入自動車の販売数は前年同月比で21・5%減、国内PC出荷台数は14%減少した。スーパーやコンビニの売上高も軒並み減。4〜6月には小売店などの倒産も増えたという。一方、政府・日銀は7月に「景気は上向いている」となぜか楽観視。物価高と収入減に苦しむ消費者の実感は「生活不安」「不景気」では?……。橋本政権の命取りとなった1997年の不況を振り返り、財政再建のための消費増税が景気に与える悪影響を検証。安倍政権の景気対策が財政破綻を導く危険性を識者が示し、警鐘を鳴らす。

◇政府・日銀の「景気は回復」は大本営発表だ!/「消費増税」が元凶、実は不景気深刻化
◇生活不安を緩和する税制の検討を


政府・日銀の「景気は回復」は大本営発表だ!/「消費増税」が元凶、実は不景気深刻化

◎景気は本当に上向いたのか
 橋本龍太郎元首相は、97年4月に消費税率を3%から5%に引き上げたことを死ぬまで後悔していた。周囲には「大蔵官僚にダマされた」と、恨み節までこぼしていたという。
 彼がそう感じたのも無理はない。首相に就任した96年、日本はバブル崩壊の不況から立ち直りつつあった。そこで財政再建のために消費増税を実施したのだが、日本経済はそれに耐えられるまでの体力はなかったのだ。増税後に個人消費が激しく落ち込み、再び不況に戻ってしまった。
 政府の見通しも甘かった。増税から3カ月たっても、
 「消費税率引上げに伴う変動もみられるものの、緩やかな回復傾向にある」(97年7月11日の「月例経済報告」)
 と、楽観的な見方ばかりしていた。
 97年の消費増税が経済に与えた影響を調査した小巻泰之日本大学教授は言う。
 「当時の新聞報道を読むと、政府だけではなく、メディアも7月までは楽観的な見通しでした。GDP(国内総生産)などの経済統計は、一定期間を経た後に発表されるからです」
 そして小巻教授は、こう警告する。
 「今年4月に消費税が引き上げられたあとの状況も、同じ経緯で進んでいます」
 たとえば、甘利明経済再生相は7月17日に「経済の好循環が回りつつある」と語っている。日本銀行が7月に発表した「金融経済月報」も「基調的には緩やかな回復を続けている」と政府見解に歩調を合わせている。あくまで「景気は上向いている」という認識だ。
 ところが、各種統計をつぶさに見ると、それは決して正しくないことがわかる。次の表は、各業界の6月の売り上げや販売量などをまとめたものだ。軒並み厳しい数字が並ぶが、特に悲惨な状況にあるのが輸入車販売で、6月の販売台数は前年同月比でなんと21・5%も減少している・・・

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