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医療・健康
朝日新聞出版

失敗しない認知症施設 進行状況で上手に利用、「サ高住」は契約に注意

初出:2014年8月29日号
WEB新書発売:2014年8月28日
週刊朝日

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 老夫婦世帯でどちらかが認知症になり、徘徊や暴力など中度の症状が出た場合、心身の疲労から共倒れになる可能性が高い。介護保険のサービスを受ける必要があるが、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせた「複合型サービス」が期待されている。一方、家族で支えられなくなった認知症高齢者には、「サービス付き高齢者向け住宅」など認知症に特化した施設への入居が注目される。居宅・地域密着型の多彩なサービスを示し、各種入居施設の特色を料金の目安や見学の際の注意点などを交えて紹介する。

◇デイサービスになじめない特性
◇負担少ない「複合型サービス」を提案
◇症状進行予防の「脳トレ」を導入
◇入居施設は実際に足を運んで確認


デイサービスになじめない特性

 8月中旬の午後3時、東京都葛飾区の社会福祉法人が運営する施設「すこやかの家業平」(墨田区)のリビング。利用者10人がおいしそうに食べる自家製プリンが、初めて見学に訪れた一組の老夫婦にもふるまわれた。


 妻の鈴木サワさん(80)は区内の自宅に住み、認知症で要介護1。横に座る夫の紀義さん(74)の不安そうな視線を気にも留めず、職員の問いかけに答え始めた。
 「私、料理を作るのは嫌いなんですよ。家事は全部この人(紀義さん)がやりますから。洗い物だけは私がやっています」
 すると、所長の長谷川浩司さんがすかさず促した。
 「では、さっそく食器を洗ってもらえませんか?」
 サワさんはおもむろにテーブル席を離れ、キッチンに向かい、シンクの前で手際よく作業を始めた。その姿を目で追う紀義さんは、疲れた表情を浮かべながらも、感慨深げにつぶやいた。
 「今までとは妻の様子が全然違う。今度こそうまくいくと手ごたえを感じます。少しずつ通える日を増やしていければいいんですが」


 この施設では毎日、利用者と職員が一緒に昼食とおやつを作って食べる。献立はその日のスーパーのチラシなどを見て決め、買い物や後片付けも利用者で役割分担して職員と一緒にやる。所長の長谷川さんが言う。
 「見学に来た方とは会話を通し、できることを探っていきます」
 ここへ通うのを嫌がりそうな人には「お皿を洗う仕事をしに行こう」「お茶に行こう」と誘うことも。施設の中でその人なりの役割を見つけるのがポイントだ。
 「役目を与えられることで自然に日常動作を取り戻し、それがリハビリにつながります」(長谷川所長)
 サワさんに「物盗られ妄想」や「徘徊」など中度の症状が現れるようになったのは2年半前。以後、紀義さんがつきっきりで支えるが、心身ともに疲労困憊が続く・・・

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