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世相・風俗
朝日新聞出版

ただ捨てられる夫たち 離婚は子との別れ?旧法の壁が親心を阻む…

初出:2014年9月26日号
WEB新書発売:2014年9月25日
週刊朝日

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 何らかの原因で夫への愛が消えると、これほどの憎悪に変わるのか。妻は子を連れて家を出たまま、戻ることはなかった。夫は子に会いたい。子育てもしたかった。だが妻は面会拒否。我が子に二度と会えそうもない夫は、日本の旧い法の壁の前に立ちすくむだけ……。近年、男親が面会交流調停の申請をする数が増えているという。悲劇の一因である「単独親権制」、2012年の民法改正、子どもの権利条約などに触れながら日本の法制度、裁判所の後進性を問い、問題打開の糸口を探る。

◇ある日、突然妻と子どもが消えた…
◇別れた男親も子育てをしたいが…
◇悲劇の一因は日本の法制度
◇民法改正しても変わらぬ裁判所


ある日、突然妻と子どもが消えた…

 40代サラリーマンのAさんは今年1月、別離を経験した。妻の浪費癖を注意したことから、不仲な状態が続いていた。妻に暴力を振るうことはなかったし、子どもにはしっかりと愛情を注いでいたと思っていた。だから家庭が壊れることをAさんは予想していなかった。
 「夜、仕事から帰ると家の明かりが消えていました。変だなと思いながら中に入ると荷物はそのまま。なのに誰もいない。いつもなら妻と4歳児と生後9カ月の乳児が待っているはずなんですが、どこにも見当たりませんでした」
 Aさんは慌てた。すぐに妻の携帯に電話をかけてみるが呼び出し音が耳元で鳴り響くばかり。妻の実家に電話してもやはり出ない。共通の知り合いに片っ端からかけてみたが行方はわからない。しばらくしてもう一度かけてみた。しかし結果は同じだった。
 「どうすればいいのかわからず、家の中で立ち尽くしてしまいました」
 失意のどん底に落とされたAさんだったが、仕事に打ち込んで平静を保つようにした。するとある日、弁護士事務所から封書が届いた。妻子が家から消えてから2カ月後のことだ。
 「離婚したいと書いてありました。私はすぐに電話し、すがる思いで妻の住所を聞きました。しかし教えてもらえませんでした。9カ月近く経ちましたが、妻子がどこにいるのかわかりません。可愛い盛りの子どもたちなのに、あれから一度も会えていないんです」
 Aさんはこう言い、肩を落とした。
 共同親権運動ネットワーク(会員数約170人)にはこうした話が多く寄せられる。子どもと離れて暮らす親たちで構成されるこの団体は、同じ立場に置かれた人の相談にのったり、講座の開催や裁判所への働きかけなども行ったりしている。運営委員の宗像充さんは次のように話す。
 「家に帰ったら妻と子がいなかった、出張から帰るといなかった……。そうした話を時折耳にします。捜し歩いた揚げ句、警察に行ったら保護命令を理由に『住所は教えられない』と言われたりするわけです」
 そもそも夫婦はなぜ別れるのか。表に離婚理由を示してみた。離婚件数は2002年の28万9836組をピークに12年には23万5406組と、ここ十数年で減少している。その一方で同時期に行われた面会交流調停(別居する親が子どもとの面会を求めて裁判所立ち会いの下、話し合い合意を目ざすこと)の申請数は3・5倍に増加。
 00年に3092件だったのが13年度には1万762件に上り、比率、数とも男性が急増しているという・・・

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