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医療・健康
朝日新聞出版

認知症はリハビリで 健康保険の対象にも

初出:2015年3月6日号
WEB新書発売:2015年3月5日
週刊朝日

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 折り紙や塗り絵などで認知症の改善をめざすリハビリテーションが注目を集めている。これまでも介護保険の対象にはなっていたが、2014年春からは健康保険でも利用できるようになった。三重県津市の介護老人保健施設で認知症リハビリを受ける90代の女性は、要介護5から3まで回復した。「リハビリのおかげで介護が楽になった」と実の娘は話す。介護施設や病院の現場を歩いた。

◇認知症リハビリ最前線
◇通所リハ続け要介護3に回復
◇言いがかりや徘徊が改善
◇心が動くことがリハビリになる
◇医療機関で導入するも早期の患者は対象外


認知症リハビリ最前線

 吉川タエさん(仮名・94歳)は、三重県津市の介護老人保健施設(以下、老健)「いこいの森」で入所・通所を繰り返しながら、認知症リハビリを受けている。タエさんは2013年3月に脳梗塞で倒れ、同年4月に病院を退院し、そのまま「いこいの森」に入所した。この時点では寝たきり状態で、意思疎通も難しく、要介護度は5。認知機能テストとして医療現場で広く使われている長谷川式で30点中3点で、重度の認知症だった。
 老健とは、リハビリを中心とした医療サービスを提供する、在宅復帰を目的とした施設だ。このため、医師、看護師、介護職員のほか、理学療法士、作業療法士らリハビリ専門の職員もいる。「リハビリ」と聞くと、けがや手術などでからだが不自由な人への起き上がりや歩行の訓練をイメージする人も多いだろう。それらは「運動器リハビリ」と呼ばれ、主に運動機能の改善を目的としておこなわれるものだ。
 医師や作業療法士らはケアプラン会議でタエさんのリハビリのプログラムを検討し、まずは身体機能を回復するためのリハビリを週3回、20分ずつおこなった。タエさんのリハビリを担当した作業療法士はこう話す。
 「寝たきりの状態から回復してきて車いすに座れるようになってからは、外に散歩に出たり、花を見て歌を歌ったりするなど、楽しむものから始めました。あるとき、風船でバレーボールをしてみたら、パスを続けようとしてもすぐに強いスパイクを打つんです。昔の話を聞くと、若いころバレーをしていたとわかり、リハビリに取り入れていくことにしました」
 身体機能が改善してきたタエさんは、次に認知症リハビリに取り組むことになった。認知症リハビリのプログラムは、数多くある(表参照)。


 たとえば、回想法は、昔の写真や道具に触れ、よい思い出を引き出すことで、快い刺激を与えるもの。音楽療法は音楽を流して聞いたり、歌を歌ったり楽器を演奏したりする。そのほか、読み書きやパズルによる学習訓練、絵画や折り紙、手芸などによる作業療法などがある。いずれも、その人にとって有効と思われるプログラムを選択していくことになる・・・

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