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朝日新聞出版

夫たちの告白 DV妻に苦しめられて

初出:2015年4月17日号
WEB新書発売:2015年4月23日
週刊朝日

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 「なんでそんなに稼ぎが悪いのっ! 死ね!」。都内に住む30代の男性は、妻から家庭内暴力(DV=ドメスティック・バイオレンス)を受け続け、最近、離婚が成立した。DVの被害を受けるのは女性ばかりではない。警察などが親身に話を聞いてくれ、行政などの相談窓口も充実している女性に比べ、男性の方がより深刻ともいえる。「DV相談者の性別は男女ほぼ半々」と話す法律家もいる。離婚に踏み切った男性3人の赤裸々な告白を聞いた。

◇されるがままに嵐の通過を待つ
◇肋骨折られる人、「命の危険」常に
◇やむなく退職、消えぬ恐怖感
◇隠しカメラなど証拠持ち相談を


されるがままに嵐の通過を待つ

 都内に住む自営業男性Aさん(30代)は最近、暴力を振るい続けた同年代の元妻と裁判を経て離婚がようやく成立した。結婚して2年ほどはうまくやっていたが、だんだん妻の様子が変わってきたという。
 「生活費として毎月20万円を渡し、保険料などの固定費も別に負担していたが、それでも僕の稼ぎに不満な様子で、お金のことでケンカすることが増えました。分担していた家事も放棄され、いつからか家のことはすべて僕の仕事になってしまったんです」
 Aさんは自営なので決まった給料日がない。生活費を渡せと言う妻に「あと2、3日待って」と言った途端に豹変され、つかみかかられた。
 「なんでそんなに稼ぎが悪いのっ! 死ね!」
 Aさんに向かって次々と皿を投げつけ、血が出るまで腕を引っかき、服を破った。それからは食事が塩辛い、トイレが汚れている、風呂の排水口に髪の毛がたまっているなど、些細なことをきっかけに暴れるようになった。
 自分は男だから反撃できない。Aさんはされるがままに嵐が過ぎるのを待つしかなかった。
 「下手に抵抗すれば、暴力と罵詈雑言が何倍にもなって返ってくる。何もせずにじっとしていることこそ、いちばん早く嵐が過ぎ去る手段だろうと考えていました」
 妻は急に何かを思い出して暴れだすこともあった。Aさんの仕事部屋に突然入ってきて、椅子を蹴り、完成間近の仕事を壊されたことも一度や二度ではなかった。妻が仕事から帰宅するのが恐ろしく、鍵穴を回す音がすると震え上がった。
 妻は清楚な雰囲気の美人だったが、独身時代から精神的に不安定で、目の前でリストカットされたこともあった。暴力を振るい始めてから、一緒にカウンセリングに行こうと誘ったが、「病気扱いするな!」と暴れるだけだった。
 ある日、Aさんは何気なく見た携帯メールで妻の浮気を知った。それを問いただしたところ、妻は烈火のごとく怒り、椅子や家具を蹴り飛ばしてから、包丁を持ち出した。
 「携帯を返せ!」
 Aさんがいよいよ命の危険を感じた瞬間、警察が乗り込んできた。外まで響き渡るただならぬ物音に、近所の人が通報したのだった。この事件を機に、Aさんは離婚を決意した。
 最近、妻からのDV(ドメスティックバイオレンス)を受けたという夫からの訴えが報道でも目につくようになった。今年3月には「ホワイトデーのお返しをくれなかった」ことを理由に、夫の首をしめた堺市南区の自営業の女(43)が殺人未遂の疑いで逮捕された。2014年にはマグカップなどで夫(当時70)を殴って死なせたとして、妻(62)が懲役6年の実刑判決を受けている。
 警察庁の調査によると14年の配偶者やパートナーからの暴力は、過去最多の5万9072件を記録。特筆すべきは男性被害者の割合が増えていることだ。10年に男性は2・4%だったが、14年には10・1%と約4倍にも達した。
 「DV相談は近年増加傾向にありますが、相談者の性別は男女ほぼ半々。夫からの暴力に悩む妻だけでなく、妻からの暴力に悩む夫は多いです・・・

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