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高齢ドライバー、免許返納に見合う特典

初出:2015年10月2日号、10月9日号
WEB新書発売:2015年10月8日
週刊朝日

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 高齢の運転者による交通事故が増えている。近年は全体の事故件数が大きく減る一方、65歳以上の事故は微増。高速道路を逆走した、アクセルとブレーキを踏み間違えた、など通常では考えにくい危険な動作もある。運転免許の自主返納制度ができたが、地方ではクルマがないと生活に支障をきたすのも事実。このため、バスや鉄道などの割引、百貨店の割引、定期預金の金利優遇など、さまざまな特典で自主返納をうながす自治体もある。

◇どうする免許返納
◇これで不便返上


どうする免許返納

 重大事故につながる高速道路の逆走。悲劇は突然起こった。
 今年1月7日午前0時25分ごろ、東京近郊に住む男性(当時83歳)の運転する乗用車が、東京都板橋区内の首都高速池袋線で、大型トラックなどに正面衝突する事故を起こした。
 報道によると、トラックの運転手にケガはなかったが、「来た瞬間に、もう逃げ場がないじゃないですか。首都高速道路の上だから、『えっ』と思った瞬間に横で音がした」と答えた。
 事故を起こした男性は全身を強く打って死亡。認知症だったという。6日にひとりで車に乗って家を出て行方がわからなくなったため、家族が警察に捜索願を出していた。
 9月上旬、男性の自宅周辺を訪ねた。東京から電車で約1時間半。さらに最寄り駅から路線バスで1時間ほど行ったところ。事故現場からは50キロ以上離れている。
 停留所から歩いていくと、シャッター通りの商店街に差しかかる。そのなかに、自宅があった。近所の男性が言う。
 「奥さんはだいぶ前に亡くなって、娘さんと暮らしていた。おじいちゃんは、写真を撮るのが好きな人で、しょっちゅう車で出かけていましたよ。いつも、気さくでお元気そうだったから、認知症とは気が付きませんでした」
 友人のひとりは、悔しさをにじませながら語った。
 「よく一緒にお茶を飲み、話をしたよ。話をしていて、すぐに忘れる。同じことを何度も聞くから、これはおかしいと思って、一度病院に連れていったことがある」
 京都市でも2011年2月、痛ましい事故が起こった。乗用車を運転していた60代の男性が、意識を失って信号待ちの車列に追突。6台が玉突きになり、バイクの男子大学生が2カ月後に死亡、12人が軽傷を負った。男性は08年ごろに認知症と診断され、医師から運転をやめるように忠告を受けていたという・・・

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