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朝日新聞出版

マイナンバー、置き去りにされた認知症高齢者

初出:2015年10月16日号
WEB新書発売:2015年10月15日
週刊朝日

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 国民すべてに番号を割り振る「マイナンバー」制度が始まったが、認知症の高齢者が置き去りにされている。そもそも「通知カード」を受け取れるのか、施設入所者は代わりに施設が預かるのか、具体的な対応に戸惑う関係者は多い。「明確なルールがない。この制度は弱者の視点が抜け落ちている」と専門家は指摘する。このままでは詐欺や「なりすまし」などの温床になりかねない、という指摘も少なくない。

◇マイナンバーで認知症高齢者が喰いもの
◇ルール存在せず現場判断の限界
◇子供や後見人が搾取するリスク
◇介護スタッフに管理任せられぬ


マイナンバーで認知症高齢者が喰いもの

 介護する現場がいま、直面しているのが、認知症高齢者らが「そもそもマイナンバーを受け取れるか」という問題だ。
 自身のマイナンバーを知らせる通知カードの発送を目前に控えた9月下旬、静岡県牧之原市にある特別養護老人ホームの施設長は当惑していた。
 「施設には認知症の利用者が入居していますが、利用者への通知の受け取りや管理はどうしたらいいのでしょうか。厚生労働省の説明会では200ページの資料が配られましたが、具体的な対応は施設任せのようです。市からの説明はありません。施設に住民票を移している利用者には施設に通知カードが届きますから、こちらで預かることになるでしょう。通常、通帳などを預かるときには、『預かり証』を発行して家族に送ります。通知カードはどうしたらいいのでしょうか。家族や成年後見人がいない場合、遠い親戚などの身元引受人に利用者の番号を見せてほしいと言われたらどうしたらいいのでしょうか」
 日本の65歳以上の認知症高齢者の人数は、2012年で約462万人。厚労省の推計ではこれが15年には約525万人、20年には約631万人、さらに25年には約730万人に達するという。
 都内で10人以上の認知症高齢者の後見人をしている司法書士もこう話す。
 「介護の現場はマイナンバー導入で混乱しています。認知症高齢者の多くが家族のいる自宅を出て、施設に入ったり、入院したりしている一方で、一人暮らしの認知症高齢者も大勢いる。番号の通知が届けられる先は高齢者の〈住所地〉ですが、高齢者が自宅にいなければ、役所に戻されてしまうのです。そこで施設など住民票がある自宅と別の場所で暮らす高齢者については、われわれが手伝って急いで住所を変更したのですが、この期間が8月24日から9月25日までのわずか1カ月しかなかった。住所登録が間に合わず、ナンバーを受け取れない認知症高齢者が続出するはずです・・・

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