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朝日新聞出版

制服の女優が護衛艦でニッコリ 自衛隊リクルートの実態

初出:2015年12月11日号
WEB新書発売:2015年12月10日
週刊朝日

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 安保法制などで注目を浴びる自衛隊だが、ここ数年、志願者は減る傾向にある。国境警備・災害救助のイメージが強かった自衛隊は、ある意味で「安全」「安定」の職場。それが「普通の軍隊」になると、「子どもを戦場に送るな」といった親の抵抗感が急に強まるようだ。自衛隊は広報に躍起。広報誌には本物の制服を着た女優による護衛艦ルポが載り、戦車やヘリの体験搭乗には人が集まる。人材募集のCMには壇蜜が起用された。自衛隊の「リクルート」の現状を報告する。

◇ぱるる・壇蜜、PRにアイドル続々/自衛官リクルート大作戦
◇本誌記者も戦車に乗ってみた/ヘリ、戦車など展示でテーマパーク化する広報施設


ぱるる・壇蜜、PRにアイドル続々/自衛官リクルート大作戦

 安保法制、イスラム国問題などの影響なのか、自衛隊志願者が減少した。防衛省は対策として、市町村から学生名簿をかき集め、リクルート大作戦を展開。さらには壇蜜やぱるるをCM起用し、ドラマ「永遠の0」などとタイアップする広報戦術までも。自衛隊なうをリポートした。

 「私は自衛隊員の諸君とともに、その先頭に立って全力を尽くす覚悟であります」
 今秋の自衛隊観艦式に臨み、こう檄を飛ばした安倍晋三首相(写真)。


 だが、言葉とは裏腹に将来、現場部隊の中心的役割を担う一般曹候補生の応募者数は、今年度2万5092人で昨年度より約2割減少(グラフ参照)。2007年に現在の採用区分になって以降、ピークだった11年度から半減している。大卒者を対象とする一般幹部候補生の応募者数も、7334人で昨年度比13・8%減。15年3月の防衛大学校卒業生の任官拒否者は25人で、過去10年間で3番目に多い数字となった。


 自衛隊員の家族でつくる団体「自衛隊父兄会」の佐賀県副会長の古里昭彦さんがこう語る。
 「応募者の減少は、安保法制の影響が大きいと思います。特に母親たちはみんな、息子を戦地に送りたくないと心底願っています。自衛隊は国境警備隊であり、災害救助隊であると思っています。国を守るのが任務であり、海外で武力行使する軍隊ではないはずです。そういう事態にならないよう外交努力するのが、政治家の役目ではないですか」
 応募者減少に危機感を募らせた防衛省は、なりふり構わないリクルート作戦を展開している。
 自衛官の募集業務を行うのは、各都道府県に置かれた自衛隊地方協力本部(地本)だ。市町村に対して、自衛官適齢者の名簿提供の要請を強めている。地本の求めに応じて、市町村が住民基本台帳をもとに18〜27歳未満の氏名、住所、性別、生年月日といった個人情報を名簿にして提供するケースが目立っている。また、名簿提供には応じず、住基台帳の閲覧のみ許可している自治体もある。地本は、こうして住基台帳から得た情報を利用し、「自衛官募集」の案内封書を送付しているのだ・・・

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