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経済・雇用
朝日新聞出版

マイナス金利、失敗の予感 預金に転嫁される恐怖

初出:2016年2月19日号
WEB新書発売:2016年2月18日
週刊朝日

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 日本銀行が、金融機関の日銀当座預金の金利をマイナスにする、と発表した。それ自体は個人の銀行口座のことではないが、これが生活にどう影響するのか気になる人は多いだろう。日銀の狙いは本来、金融機関が資金を貸し出しに回すことを狙った景気刺激策だが、行き場のない資金が国債などの安定した債券に向かったり、金融機関はマイナス金利を一般の預金口座に転嫁したりするのではないか、といった疑念は消えない。

◇マイナス金利の対策OK?
◇黒田バズーカ、下町工場には届いたか


マイナス金利の対策OK?

 さあどう見るか。安倍政権は株高を演出して夏の参院選になだれ込むはずが、年初から日経平均株価は急減速。そこに「高木パンツ大臣」やら「甘利銭ゲバ大臣」やらで、時期を引きつけて撃ちたい日銀「黒田バズーカ3」をたまらず発射した。出てきた弾は「マイナス金利」。この異次元の『奇策』、庶民にしわ寄せもある。東京商工会議所の大森和廣経営指導員は言う。
 「経営者からも『モヤモヤ感がある。どうなるのか』と問い合わせが来ます。ただどう答えるか定まっておらず、回答できていない」
 マイナス金利は金融機関に対する政策の一つ。これまで各行は不景気で融資先が見つからないため、金利がつく日銀当座預金に預けてきた。その金利をマイナスにして「損する口座」とし、融資と円安に仕向ける策だ。
 だが簡単ではない。実はこの政策は、ユーロ圏やデンマーク、スイスなどが数年前から実施。東短リサーチの加藤出氏によると、実際に起きたのは金利払い費用を顧客側に転嫁する動きだ。「目立つのは機関投資家、大手企業の民間銀行口座をマイナス金利とするケース。スイスでは運用利回りの悪化で年金制度への不安も出ています」という。
 個人の預金金利や手数料にも暗雲がかかる。特殊な銀行を除き、欧州でも個人口座のマイナス金利はない。だがそもそも「スズメの涙」ほどの金利だ。5年定期に100万円預けても、手数料がかかる土休日に3〜4回ATMを使えば、金利は吹っ飛ぶ。この涙さえも枯れるかもしれない。
 一方でチャンスもある。ローン金利の引き下げだ。借り換えには絶好機。さらに債券から株式に関心が向き始める。「世界経済の影響を押し返す力はないが、多少の株価押し上げ効果はある」と加藤氏。さあ、もろもろの「見直し祭り」を始めようじゃないか。



[住宅ローン] がん診断確定で「残高半分」も
 金利引き下げ競争が続く金融業界にも衝撃が走った。ある都市銀行員は言う。
 「マイナス金利で収益は減ります。ただ日銀は本気だなと。このままでもジリ貧です。カネの亡者といわれるかもしれないが、我々は仲介業。個人や企業が元気にならないと我々も良くならない。効果が出てほしい・・・

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