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朝日新聞出版

妻に殺意を持たれる瞬間 もともと他人だったよね…

初出:週刊朝日2016年7月1日号
WEB新書発売:2016年6月30日
週刊朝日

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 「妻が夫を殺そうとしたら、そりゃもう、逃げられないですよ」。法廷傍聴ものの著書で人気の北尾トロさんはこう話す。夫が飲む焼酎に妻が猛毒を混入する様子が法廷で映し出されたこともある。36年前の浮気をきっかけに夫を殴り殺した70代の妻もいる。夫婦円満のためには、「そもそも他人だった」ことを忘れない方がいいようだ。全国亭主関白協会は「上手に妻の尻に敷かれる亭主力」を訴えている。それにしても、男性の悩みは尽きない。妻の出産後の夫のうつ「パタニティブルー」や、白髪への対処などにも触れた。

◇「死ねばいいのに」…妻が夫に殺意を抱く瞬間/日常に潜む妻の『怨念』
◇「イクメン」ブームの陰で増える父親の「パタニティブルー」/男性の産後うつ症状
◇染めるべきか、ありのままか…/どうすりゃいいの?この白髪


「死ねばいいのに」…妻が夫に殺意を抱く瞬間/日常に潜む妻の『怨念』

 「妻が、自分の死を望んでいる」。ドラマの中だけの話だと思うかもしれない。だが現実に、妻による夫の殺害事件は多数発生し、どんな家庭にもその萌芽はあり得るという。夫に「死んでほしい」と願う妻たち。怨念の裏に潜むものとは――。

 彼女はキッチンで大きな焼酎の紙パックを取り出した。慣れた手つきでステンレス製の漏斗を使い、小さな瓶の中身を入れる。紙パックのふたを締めると、ゆさゆさと揺すった――。
 6月16日、宇都宮地裁。昨年10月に起きた殺人未遂事件の初公判で、スクリーンに映し出されたのは、鹿毛陽子被告(33)が猛毒リシンの水溶液を、被害者の夫が愛飲する焼酎に混入する様子の一部始終だった。


 「何かおかしいところはありませんか?」
 検察側の冒頭陳述内容について、裁判長に問われた鹿毛被告は、淡々と答えた。
 「ありません」
 冒頭陳述などによると、犯行の動機は、被告や10歳になる長女、8歳の長男への夫の暴力だ。被告は産後うつ、育児ノイローゼに悩まされ、対人関係が苦手になった。家計を支えるためにトレーディングカードの店を開業したが、経営に失敗。借金を抱えたことで家庭内の歯車が狂い始めた。
 昨年春に、夫婦は別居した。当初、子どもは2人とも妻が引き取ったが、ほどなくして「父親と暮らしたい」と、長女は夫宅へ戻ってしまう。家計用の通帳とキャッシュカードも夫に取り上げられ、不信と不満をどんどん募らせ、やがて殺意が芽生えていった。
 それからの被告はインターネットに頻繁にアクセス。「トウゴマ」「トリカブト」「キョウチクトウ」などの毒草を研究するなど、殺害への模索を始める。そして昨年8月。夫はいつもの焼酎で「死ぬかと」思うほどの体調不良に。その後、妻の、偽名による殺鼠剤購入計画が製薬会社の通報がきっかけで発覚。ついに警察の捜査が始まった。


 夫宅から毒入り焼酎が発見され、警察が隠しカメラを設置。数日後、録画されたのが冒頭の映像だ。
 初公判では、リシン入り焼酎、殺鼠剤以外にも、たばこの煮汁、塩素ガスなど、被告はさまざまな方法を試みたことが明らかになった。浮き彫りになったのは、夫殺害への強い執着だ・・・

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妻に殺意を持たれる瞬間 もともと他人だったよね…
216円(税込)

「妻が夫を殺そうとしたら、そりゃもう、逃げられないですよ」。法廷傍聴ものの著書で人気の北尾トロさんはこう話す。夫が飲む焼酎に妻が猛毒を混入する様子が法廷で映し出されたこともある。36年前の浮気をきっかけに夫を殴り殺した70代の妻もいる。夫婦円満のためには、「そもそも他人だった」ことを忘れない方がいいようだ。全国亭主関白協会は「上手に妻の尻に敷かれる亭主力」を訴えている。それにしても、男性の悩みは尽きない。妻の出産後の夫のうつ「パタニティブルー」や、白髪への対処などにも触れた。[掲載]週刊朝日(2016年7月1日号、13100字)

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